マラソン 並走

多くの市民マラソンランナーは、いわゆる競争としての「レース」を走ったことがないと思う。

バカいうなよ、毎年走ってるわ!市民マラソン大会で。
そう思う人もいるかもしれない。

でもそれ、本当の意味での「レース」かい?

他のランナーとの勝ち負けを争うことを「レース」としてみたい

トップランナーでもない限り、だから一般の市民ランナーの多くは、他のランナーとの勝ち負けを争って走ることはあまりないはずだ。
ほとんどの市民ランナーは自己ベストタイムを狙って走っているのだと思う。レースというよりタイムトライアル的というか。

いや、それを否定するつもりはまったくないよ。それが市民マラソン大会のいいところなんだから。
勝負をするのは過去の自分だ。年をとってくると過去の自分、去年の自分に勝つことはこの上なくうれしい。だって、普通、体力は衰えていく一方なんだから。それに勝ったらうれしいに決まってる。
他人なんてどうだっていいんだ。

と、オレなんかは思うんだけど、でもあれかな、ランニングチームなんかに属していれば、そのメンバー間での争いはあるのかもしれないね。噂を耳にしなくもない。どこどこの誰それさんがどーのこーのみたいな(笑)

ま、オレはそういうのに属したことはないのでホントのところはわからないけど、でもあるだろうね。嫉妬的ななにか。嫌だ嫌だ(笑)

ま、それは置いといて。

レースだ。
たまには誰かと勝負する、本当の意味でのレースをしてみるのはどうだろう?
オレは過去に一度だけあるんだ。去年だったかな。その時のことを書いてみたいと思う。
なかなかおもしろかったからさ。


(ここでいう)レースとタイムトライアルの違い

いつもの走り方となんか違うのか?そう思うかもしれない。
レースだってなんだって、とにかう自己ベスト狙って走るだけなんじゃねーのか?って。

違うんだよ、それが。

たとえばトップランナーたちのレースを考えてみよう。


フルマラソン世界記録と日本記録

もうここ何年間も、2017年現在まで日本のマラソン選手は世界の選手に勝てなくなっている。
世界記録と日本記録を比べてみれば、その力の差は明らかだ。

男子で見てみれば世界記録はケニアのデニス・キプルト・キメットの2時間02分57秒だ。

それに対して、日本記録は高岡寿成の2時間06分16秒だ。
ただ、この日本記録は2002年のもので15年も更新されていない。
ここ何年かは2時間08分台がやっとって感じだよね、日本選手。


2時間02分台で走らないと勝てないのか

そんなことはまったくなくて。
例えば2017年の世界陸上マラソン男子の優勝はケニア代表のジョフリー・キルイ選手でタイムは2時間08分27秒だ。

例えば2016年のリオオリンピックのマラソン男子の優勝はケニア代表のエリウド・キプチョゲでタイムは2時間08分44秒だ。



じゃあ、2時間08台で走れば日本人でも勝てるんだな

いや、事はそう単純じゃないんだ。
優勝したケニアの選手は別に自己ベストタイムを狙って走ったわけじゃない。たぶんだけど。

勝つためのマラソンをしたんだ。

タイムはどうだっていい。
そもそも、マラソンはレースごとにコースは違うし、天候、気温によってそのタイムは大きく左右される競技だ。
別に3時間オーバーだって(そんなことないけど)最初にゴールテープを切れば優勝だ。
他の選手がスピードを出さないなら、自分も体力を温存して走ればいいだけだ。そして絶対の自信がある距離まできたらスパートすればいい。

それが勝つためのレースだ。勝つことしか考えていないレースだ。

だから、もし日本人選手が2時間08分台で走るなら、それ以上のタイムで走るだけだと思う。

世界新記録狙いのタイムトライアル的なマラソンなら、また別の走りになるのだろう。
だから、もしかして途中でつぶれるかもしれないリスク覚悟で飛ばしていくはずだ。


勝つことだけを考えたレース

オレもそんな「勝負」のレースを一度だけしたことがあるんだ。
いや、低レベルの争いだよ(笑)

ハーフマラソン大会に出たときだ。
スタート前に古い友人に偶然会ったんだ。元陸上部の男で昔からフルマラソンを3時間台で走っていた男だ。それこそ、オレがマラソンのマの字にも興味のない頃から走っていたのを憶えている。

ちんたら市民ランナーをやっているオレにとってはマラソンの巨人だ。

ただ、最近のタイムを聞いたらオレより「ちょい早」くらいだ。どうやら普通のオッサンになったらしい(笑)
それでも、オレの中ではマラソンンの巨人だ。冗談半分で「見つけたらついて行くわ!」って言ってその場は別れたんだ。

スタートして10キロ地点くらいだったかな。前方にその男を発見したんだ。オレは自分で設定したペースで走っていたんだけど、その差はどんどん縮まる。

「ん?」と思った。
「これ、イケるんじゃね?」って。

勝負してやる、そう思った。絶対に勝ってやるぞ、と。
その時点からタイムはどうでもよくなった。勝つためのレースだ。

あまり早くに追い越して本気を出されても困る(笑)まずはしばらく追跡だ。
12キロ過ぎ、その男の足取りは少々重い感じがする。一方オレには余裕がある。

まだだ、まだ行くな。追い越すタイミングを図る。
残り5キロなら、普段のビルドアップトレーニングで最後に追い込む距離だ。その距離なら踏ん張れるはずだ。

もう、左腕のGPSウォッチはまったく見ていない。その男の背中だけを見て走る。

15キロ過ぎ、その男のペースが落ちたように思えた。
「いつ行くの」「今でしょ!」(古い)

ってことでペースをあげる。追い越しながら声をかける「よっ!」つって。

ここからが、勝負だ。
追いかけてくるのをあきらめさせるために、できるだけスピードを上げる。
オマエはついてこれないんだぞ、って思わせるために。

苦しい。そして味わったことのない恐怖感があった。
「後ろから来てるんじゃねーか」って恐怖(笑)

いつもより力が出たんだろうね。
結果、自己ベストタイムで勝利したよ。

「いやー、なんかレースしてたなオレ」そう思った(笑)

たまには、こういう「レース」もおもしろいもんだね。
たまにでいいけど。いつもだったら精神的に疲れるわ。

オレはたまたま友人をライバルに勝負してみたけど、知らない人をターゲットにしてレースをしてみるのもおもしろいかもしれないね。

市民ランナーの基本は「過去の自分に勝つ」だとは思うけど。
たまにはね。


最後まで読んでくれてありがとう。





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