オレのアドバイスは間違えていたのかもしれない。
そう反省していることがある。
ランニングシューズについてのアドバイスだ。
ランニングに興味を持った友人を、うまく導けなかったのではないかと反省しているんだ。
1か月前の話だ。
友人が自分の履いている靴を指さしながら質問してきた。
「この靴でもマラソンって走れる?」
お馴染みニューバランスのコレだ。

「いや~、もっとちゃんとしたランニングシューズを買ったほうがいいよ」
オレはそう答えてしまった。
そのアドバイスを反省しているんだ。
少しでも本気でランニングをしている人は、ニューバランスのコレを履いて走ることはないと思う。
なぜならコレは本格的なラニングシューズではないからだ。
スポーツ店の「ラニングシューズ」コーナーにこの靴はない。「タウンユース」のコーナーにあるはずだ。
しかし、だからといって本当にニューバランスのコレが本格的なラニングシューズではないといえるのだろうか。最新のテクノロジーは採用していないかもしれないが、立派なランニングモデルのシューズには違いないはずだ。
ランニング初心者がこれを履いて走ったって別にいいんじゃないのか。
オレが友人にアドバイスすべきだったのは
「靴はどうでもいいから、まず1キロ走ってみろ」
そんな言葉ではなかったのか。
友人は別に下駄を履いて走ると言ってる訳じゃないんだ。
オレは過去、靴擦れなどのトラブルも多かったこともあって、ランニングシューズにはこだわっている方だと思う。大した記録も出せないくせに。やかましいわ。
だけどたまに思うんだ。
ホントはランニングシューズなんて、なんでもいいんじゃないかって。
少なくとも、オレレベルの走りならば。
「弘法筆を選ばず」の精神がかっこいいんじゃないのかって。
弘法大使のように技術を高めてから言えって話だが。
オレが中学3年のときの話だ。遠い昔の話だ。
校内の体育大会での出来事だ。その「事件」はリレー競技で起きたんだ。
距離はたしか4×200mだったと思う。学校のグラウンドにつくられたトラック1周の距離は200mだったはずだ。とにかく4×トラック1周のリレーだ。
3年生のリレーといえば体育大会の最終競技であり花形競技だ。
その着順のポイント次第で、クラス対抗の勝敗も決まることの多い重要な競技だ。
オレはそのリレー選手に選ばれた。「選ばれてしまった」という表現がふさわしいかもしれない。
あまりうれしいことではなかったからだ。
オレは走るのが特別速いわけではなかった。まぁ野球部ってこともあって遅くはなかったと思うが、陸上競技を走るレベルにないことは確かだ。
それに加えて、どう考えてもオレのクラスはポンコツぞろいだったんだ。オレが選ばれるくらいなんだから(笑)
陸上部は一人もいなかった。
花形競技のリレーだ。注目度は高い。全校生徒の前で恥をさらしたくなかった。
他のクラスには陸上部もいるし、各運動部の俊足たちがそろっていた。
勝てる要素は一つも見つけられなかった。
まぁいいよ、てきとーにやろうぜ、そんな逃げの姿勢だった。
オレのチームはこんなオーダーで勝負した。
1走 タドコロくん(帰宅部。運動能力は高い)
2走 クドウくん(野球部。走るのは速くない)
3走 オレ(野球部。走るのは速くない)
4走 カワサキくん(帰宅部。走り幅跳びはけっこう飛ぶ)
こんな4人だった。雑草軍団だ。
ここで「靴」の話になる。
たかが中学校の体育大会とはいえ、リレー選手に選ばれたからには、みんなそれなりのランニングシューズを用意していた。
ただ4走のカワサキくんは違った。
「オレ、別になんでもいいよ。」
そんなスタンスだった。
カワサキくんはいつも履いていたこの靴で勝負に挑んだ。

おなじみ「コンバースオールスターハイカット」だ。
バスケットシューズなのだろうが、まぁ、ズックだズック。
カワサキくんはこの大舞台にズックで勝負に出たんだ。
土のグラウンドを走るのには、ズックのソールはグリップ力に不安があるように思った。
しかし、どうせオレたちは勝てない。まぁ、いいか。いまさらどうにもならないし。
ただ、そうは言ってもがんばらないわけにはいかなかった。
このリレーで万が一、オレたちが優勝すればクラスの総合優勝も決まる点差だったからだ。
晴れ渡った空にピストルが鳴り響く。
1走のタドコロくんがナイフのように切れ味鋭いスタートダッシュをみせた。コースは大外だ。
タドコロくんは断トツ1位でトラックを駆けている。なにが起きているのかわからなかった。バカやめろ、そう思った。
そのまま2走のクドウくんにバトンパスした。
2走のクドウくんは明らかに他の2走より遅かった。しかしタドコロくんの作ったリードは他が追いつくことを許さなかった。途中からオープンコースになった。クドウくんはトップのままオレの前に現れた。「ゴー」そう叫んだ。
3走のオレはクドウくんの「ゴー」を合図にスタートした。あれ、来ない。クドウくんが来ない。タイミングが合わなかった。バトンパスゾーンが終わる。ヤバい。オレはほとんど立ち止まって振り向いた。バトンを受け取る。バトンパス失敗だ。2位のチームはすぐそこにいた。タドコロくんが作ったリードはなくなった。
オープンコースになっているのですぐには追い越しをかけてこない。オレのすぐ後ろを走っているのは同じ野球部のアキアマくんだ。俊足だ。どう考えてもオレの方が遅い。息使いがはっきり聞こえるほどの距離だ。
オレは野球部のキャプテンだった。アキヤマくんは副キャプテンだ。
キャプテンを追い越すんじゃねーぞ、そんな勝手なことを思って走った。
最終コーナーを回った時、アキヤマくんが横に並んできた。4走アンカーにバトンを渡したのはほぼ同時だった。
終わった、そう思った。
オレがバトンを渡したカワサキくんは帰宅部でコンバースハイカットを履いていた。アキヤマくんがバトンを渡したのは陸上部の短距離選手だ。終わった。
4走アンカーのカワサキくんのあの時の猛烈な走りは、今思い出しても笑ってしまう。
アニメの中のキャラクターのように脚がグルングルン回って砂埃を上げて走っていくイメージだ。グイグイスピードを上げていく。同時にバトンをもらった陸上部短距離選手をどんどん引き離していく。
陸上部短距離選手をどんどんグイグイ引き離していくカワサキくん。
全校生徒の応援は異様なほどに盛り上がる。
雑草軍団が勝つのは目前だ。
カワサキくんは最終コーナーに突っ込む。ザザっザザっと脚が外側に流れ出した。スリップしている。体のバランスが崩れる。明らかに制御不能だ。
そこからはスローモーションに見えた。
本当にスローモーションに見えたんだ。
前のめりになるカワサキくん。
右肩から地面に崩れ落ちるるカワサキくん。
転がるカワサキくん。
音が消える。
次の瞬間、悲鳴と歓声。
カワサキくんは立ち上がれない。
雑草軍団は最下位になった。
やっぱりランニングシューズはちゃんと選んだほうがいいのかもしれない。
友人はまだ走り出していない。
関連記事「【マラソン初心者~サブ4】のためのランニングシューズの選び方」
関連記事「ランニングシューズの選び方 厚底or薄底どっちがいい?」
関連記事「Onクラウドフローとはどんなシューズか。」
そう反省していることがある。
ランニングシューズについてのアドバイスだ。
ランニングに興味を持った友人を、うまく導けなかったのではないかと反省しているんだ。
1か月前の話だ。
友人が自分の履いている靴を指さしながら質問してきた。
「この靴でもマラソンって走れる?」
お馴染みニューバランスのコレだ。

「いや~、もっとちゃんとしたランニングシューズを買ったほうがいいよ」
オレはそう答えてしまった。
そのアドバイスを反省しているんだ。
少しでも本気でランニングをしている人は、ニューバランスのコレを履いて走ることはないと思う。
なぜならコレは本格的なラニングシューズではないからだ。
スポーツ店の「ラニングシューズ」コーナーにこの靴はない。「タウンユース」のコーナーにあるはずだ。
しかし、だからといって本当にニューバランスのコレが本格的なラニングシューズではないといえるのだろうか。最新のテクノロジーは採用していないかもしれないが、立派なランニングモデルのシューズには違いないはずだ。
ランニング初心者がこれを履いて走ったって別にいいんじゃないのか。
オレが友人にアドバイスすべきだったのは
「靴はどうでもいいから、まず1キロ走ってみろ」
そんな言葉ではなかったのか。
友人は別に下駄を履いて走ると言ってる訳じゃないんだ。
オレは過去、靴擦れなどのトラブルも多かったこともあって、ランニングシューズにはこだわっている方だと思う。大した記録も出せないくせに。やかましいわ。
だけどたまに思うんだ。
ホントはランニングシューズなんて、なんでもいいんじゃないかって。
少なくとも、オレレベルの走りならば。
「弘法筆を選ばず」の精神がかっこいいんじゃないのかって。
弘法大使のように技術を高めてから言えって話だが。
中学校の体育大会
この話について、だから「ランニングシューズなんて、なんでもいいんじゃないか」って話について思い出すエピソードがある。ちょっとした思い出話だ。時間があったら読んでほしい。オレが中学3年のときの話だ。遠い昔の話だ。
校内の体育大会での出来事だ。その「事件」はリレー競技で起きたんだ。
距離はたしか4×200mだったと思う。学校のグラウンドにつくられたトラック1周の距離は200mだったはずだ。とにかく4×トラック1周のリレーだ。
3年生のリレーといえば体育大会の最終競技であり花形競技だ。
その着順のポイント次第で、クラス対抗の勝敗も決まることの多い重要な競技だ。
オレはそのリレー選手に選ばれた。「選ばれてしまった」という表現がふさわしいかもしれない。
あまりうれしいことではなかったからだ。
オレは走るのが特別速いわけではなかった。まぁ野球部ってこともあって遅くはなかったと思うが、陸上競技を走るレベルにないことは確かだ。
それに加えて、どう考えてもオレのクラスはポンコツぞろいだったんだ。オレが選ばれるくらいなんだから(笑)
陸上部は一人もいなかった。
花形競技のリレーだ。注目度は高い。全校生徒の前で恥をさらしたくなかった。
他のクラスには陸上部もいるし、各運動部の俊足たちがそろっていた。
勝てる要素は一つも見つけられなかった。
まぁいいよ、てきとーにやろうぜ、そんな逃げの姿勢だった。
オレのチームはこんなオーダーで勝負した。
1走 タドコロくん(帰宅部。運動能力は高い)
2走 クドウくん(野球部。走るのは速くない)
3走 オレ(野球部。走るのは速くない)
4走 カワサキくん(帰宅部。走り幅跳びはけっこう飛ぶ)
こんな4人だった。雑草軍団だ。
ここで「靴」の話になる。
たかが中学校の体育大会とはいえ、リレー選手に選ばれたからには、みんなそれなりのランニングシューズを用意していた。
ただ4走のカワサキくんは違った。
「オレ、別になんでもいいよ。」
そんなスタンスだった。
カワサキくんはいつも履いていたこの靴で勝負に挑んだ。

おなじみ「コンバースオールスターハイカット」だ。
バスケットシューズなのだろうが、まぁ、ズックだズック。
カワサキくんはこの大舞台にズックで勝負に出たんだ。
土のグラウンドを走るのには、ズックのソールはグリップ力に不安があるように思った。
しかし、どうせオレたちは勝てない。まぁ、いいか。いまさらどうにもならないし。
ただ、そうは言ってもがんばらないわけにはいかなかった。
このリレーで万が一、オレたちが優勝すればクラスの総合優勝も決まる点差だったからだ。
晴れ渡った空にピストルが鳴り響く。
1走のタドコロくんがナイフのように切れ味鋭いスタートダッシュをみせた。コースは大外だ。
タドコロくんは断トツ1位でトラックを駆けている。なにが起きているのかわからなかった。バカやめろ、そう思った。
そのまま2走のクドウくんにバトンパスした。
2走のクドウくんは明らかに他の2走より遅かった。しかしタドコロくんの作ったリードは他が追いつくことを許さなかった。途中からオープンコースになった。クドウくんはトップのままオレの前に現れた。「ゴー」そう叫んだ。
3走のオレはクドウくんの「ゴー」を合図にスタートした。あれ、来ない。クドウくんが来ない。タイミングが合わなかった。バトンパスゾーンが終わる。ヤバい。オレはほとんど立ち止まって振り向いた。バトンを受け取る。バトンパス失敗だ。2位のチームはすぐそこにいた。タドコロくんが作ったリードはなくなった。
オープンコースになっているのですぐには追い越しをかけてこない。オレのすぐ後ろを走っているのは同じ野球部のアキアマくんだ。俊足だ。どう考えてもオレの方が遅い。息使いがはっきり聞こえるほどの距離だ。
オレは野球部のキャプテンだった。アキヤマくんは副キャプテンだ。
キャプテンを追い越すんじゃねーぞ、そんな勝手なことを思って走った。
最終コーナーを回った時、アキヤマくんが横に並んできた。4走アンカーにバトンを渡したのはほぼ同時だった。
終わった、そう思った。
オレがバトンを渡したカワサキくんは帰宅部でコンバースハイカットを履いていた。アキヤマくんがバトンを渡したのは陸上部の短距離選手だ。終わった。
4走アンカーのカワサキくんのあの時の猛烈な走りは、今思い出しても笑ってしまう。
アニメの中のキャラクターのように脚がグルングルン回って砂埃を上げて走っていくイメージだ。グイグイスピードを上げていく。同時にバトンをもらった陸上部短距離選手をどんどん引き離していく。
陸上部短距離選手をどんどんグイグイ引き離していくカワサキくん。
全校生徒の応援は異様なほどに盛り上がる。
雑草軍団が勝つのは目前だ。
カワサキくんは最終コーナーに突っ込む。ザザっザザっと脚が外側に流れ出した。スリップしている。体のバランスが崩れる。明らかに制御不能だ。
そこからはスローモーションに見えた。
本当にスローモーションに見えたんだ。
前のめりになるカワサキくん。
右肩から地面に崩れ落ちるるカワサキくん。
転がるカワサキくん。
音が消える。
次の瞬間、悲鳴と歓声。
カワサキくんは立ち上がれない。
雑草軍団は最下位になった。
やっぱりランニングシューズはちゃんと選んだほうがいいのかもしれない。
あれから1か月
ところであれから1か月。友人はまだ走り出していない。
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関連記事「Onクラウドフローとはどんなシューズか。」
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コメント
コメント一覧 (13)
吹きました。車中じゃなくて良かった😜
おもしろさが伝わってよかった!
カワサキくんとは今でも語り合うテッパンネタなんで(笑)
ケガ予防やパフォーマンスは別の話しですが笑
確かに履きなれたシューズには勝てないですね~
ランニングシューズ選びは難しいけど面白い!
レースのときは周りのランナーのシューズをいつもガン見してます(笑)
あっちゃんさん
な、なんというお褒めの言葉!カワサキくんも喜ぶと思います(笑)
自分の中学校のグランドを思い浮かべながら読ませていただきました。
で結局、能力の高い人はシューズを選ばないのか、
やはりシューズは大事なのか、どちらとも言えるエピソードですよね。
でも、もしもカワサキくんがランニングシューズで走って、
ぶっちぎりで1位を取ってたら、
ここまで語り継がれるネタになってなかったかも?ですね。
最後の転倒は靴の問題より走る技術の問題だったかもしれません。
だからどちらかといえば「弘法筆を選ばず」寄りな話になりますかね・・
あの歓喜から落胆への衝撃(笑激)は忘れられない思い出です。
Tさん
サイズが合ってない、なんてわかるものなんですね!
私は主にメーカーのチェックです(笑)
自分の好きなOnが最近増えてきたなーよしよし、とか。
最近なら、やっぱりナイキのアレが増えてきたなーとか。
でも、やっぱりアシックスが強いですよね~
どのお店にも売っているわけではないので、売る方としても、Onはちょっと特別な感じがします笑
裸足で走ってた女性ランナーいてたな。
河川敷、未舗装コースで小石踏んだら痛いだろうに。
強者に憧れます。
70キロ裸足!いや、すごい。
最近ワラーチで走ってる人もよく見かけません?
きっとフォームもしっかりしてるんでしょうね~
うらやましい。
数日前に初めてこちらを拝見し、吹き出しながら楽しく読ませて頂いております。
面白くて、ぐんぐん読んでしまいます。
「弘法筆を選ばず」のことわざですが、実際の弘法はとても筆を選んだとか。書家の間では有名な話らしいです。
へなへな高齢ジョギングの私も、シューズだけは計測してもらってランニングショップで買いました。ごめんなさい。アンダーアーマーです。
初めまして。
いやいや、アンダーアーマーいいじゃないですか!
一度は履いてみたいメーカーの一つです。
スポーツ店行くと、いつも試し履きしてます(笑)
デザインかっこいいし(重要)かかとのフィット感がいいですよね!
ブログ笑ってもらえてうれしいです。ありがとうございます!