
たまに現れるのは「マラソン大会に1回だけ出たことがある人」だ。
たまに、とは言っても現れる頻度は意外に多い。
オレの趣味がマラソンだとわかると、こう言ってくるんだ。
「あ、俺もマラソン大会に出たことあるよ」
共通の話題があったと思って、話を広げようとしても無駄だ。
「出たことあるよ」というワードに隠された意味を見落としてはいけない。
そのワードからわかることは、それが「過去の出来事」だということだ。
マラソン大会に出たのは過去の出来事で、今は出ていないということを察知したい。
そしてその多くは、1回だけでやめてしまっていることはよく知られている。
「マラソン大会に1回だけ出たことがある人」だ。
その「1回だけの人」にエピソードを聞いていくと共通するあることに気付く。
やけに度胸があるんだ。
「1回だけの人」は度胸がある。
オレはその度胸を見習いたいと思う。
逆じゃね?そう思うかもしれない。
次のレースに挑戦する度胸がないだけじゃないの?って。
果たしてそうだろうか。
たとえば初めてマラソン大会に出た知人女性はこう言った。
「この前マラソン大会に出たら、ヒザが痛くて走れなくなってビリっけつになったからもう出ない」
聞きたいことはたくさんある。オレは順を追って聞いていった。
「なんて大会?」
「忘れた。なんか誘われて出ただけだから」
まぁ、そういうこともあるのかもしれない。
「何キロ走ったの?」
「10マイル」
初めてマラソン大会に出た人の口から出た「マイル」発言に驚くしかない。
「10マイルって何キロか知ってる?」
「よくわからないけど、すごく長かった」
初マラソンで16キロは少々長いかもしれない。
「どこ走ったの?」
「なんか山の中とか」
この後のいくつかの質問でその大会は判明したのだが・・。
オレの知らない大会だったんだ。
北海道の大会なら、オレはある程度知っていると思う。
なのに知らない大会だったんだ。
マラソン初心者ならこの大会でしょ、ってのはいくつかあるじゃない?
そのどれでもなかったんだ。
それはクロスカントリーコースを10マイル走るレースだったんだ。ああ、だからマイルね。
上り下りが辛かったという。そしてヒザが悲鳴をあげたということだ。そりゃそうだ、クロスカントリーコースだからな。
ちなみに聞いてみた。
「大会前にちゃんと走り込みとかしたの?」
「家の周りを1周だけ」
その距離、数百メートルだ。ぶっつけ本場といっていい。
「1回だけの人」はぶっつけ本番で大会に挑むこともよく知られている。
オレはこの度胸を見習いたい。
名前すら知らない、走る距離もわからない大会に出る度胸。
それも初めてのマラソン大会で、だ。
クロスカントリーコースでも10マイルでもおかまいなしだ。
それにぶっつけ本番で挑む。
これに比べればオレが大会前に不安に思うことなんてちっぽけなことだ。
月間走行距離が200キロに達していない?
いいんだよ、家の周りを1周すればそれでいい。(いいわけねーだろ)
ちなみに調べたら、その女性の順位は本当に「ビリっけつ」だったんだ。
普通「ビリっけつ」は「順位は後ろの方だった」という意味で使われることが多いだろ?
違ったんだ。正真正銘の「ビリっけつ」だったんだ。選ばれし者だ。
一体この度胸はどこから来るんだ?
初めてのマラソン大会でクロスカントリーコース10マイルに挑んでビリっけつ。
これだけの結果を出した人に(いろんな意味で)「また挑戦すればいっしょ」なんて軽々しく言えるわけがない。
こうして彼女は「1回だけの人」になったわけだ。
また別の知人男性は大会に出た理由をこう言った。
今年中に「絶対に無理なことに挑戦する」っていう目標を立てたことがあってさ、と。
フルマラソンに挑戦したということだ。
もちろんぶっつけ本番だ。
残念ながら30キロ手前の関門で制限時間を突破できずにリタイアになったそうだ。
残念ながら、と書いたがそれを話す本人はまったく残念そうじゃない。
フルマラソンを完走することが彼の目標ではなかったからだ。
「絶対に無理なことに挑戦する」のが目的だったんだ。
その目標は達成したらしい。挑戦はしたんだから。挑戦したことに意義があるんだ。
きっとそれはフルマラソンじゃなくてもよかったはずだ。
たまたま目の前にあった「絶対に無理なこと」がフルマラソンだったのだろう。
最初から「絶対に無理」なんて言ってたら、そりゃ完走できないでしょ、と思わなくもなかったが(笑)いやいや、それでもぶっつけ本番で挑戦するその度胸を見習いたい。
そして彼もまた「1回だけの人」になったんだ。目標は達成したからね。
ところで「1回だけの人」を「毎年出る人」に変える方法はあるだろうか。
オレは別に「1回だけの人」を批判するわけではない。度胸を見習いたいと言っているじゃないか。
でもやっぱりマラソン仲間が増えることはうれしいじゃない。
その方法はあるだろうか。
答えは自分だ。
オレはどうして「1回だけの人」にならなかったのかを考えればそこに答えがあるはずだ。
オレのマラソン大会デビューは10年ほど前にさかのぼる。10キロレースだ。
走り終えたオレはどう思っただろう。
よく憶えていないが「もうやめた」とも「また来年も出よう」とも思わなかったと思う。
だけど次の年、また同じ大会の同じレースに出たんだ。
今みたいに何がなんでも自己ベスト更新してやる、なんて鼻息荒くしていたわけでもなく、なんとなく出たんだ。
そして毎年。それがハーフになりフルになる。ついにはウルトラまできてしまった。
そういうことだと思う。
どういうことだよ。
オレが知りたいよ。どうしてウルトラまできてしまったんだろう(笑)
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コメント
コメント一覧 (3)
1540/ 1550 (2h 45 m くらい
回収バスに抜かれる始末
去年スイッチ入りフルデビュー
今年は 12レースくらい
うち 100 km 2回
来年冬 200 km トライ (関東)
続けられるのは、毎レース確実に自分よりちょっと速いランナーがいるから。
うまく言えないけれど。あなたでしたらなんかわかってくれるはず。
ところで、札幌マラソン中止なので自己ベスト達成ならず残念ですね。と、言うことはサロマ湖再チャレンジ確定でしょうか(笑)
2年くらい前にハーフを初完走して来年200kmトライ?!!
レースで見るレベルの高いランナーに刺激されてまた挑戦するってのは
私もそうですが、進化のスピードが早すぎる・・
私なんて初レースから100kmに挑戦するまで10年以上かかってますからね(笑)
てっぺいさん
あれ、私そんなこと言ってましたっけ?
言ってましたね・・いや、中止じゃなかったら自己ベスト確実だったんですけど(ウソつけ)さて、どうしましょうか(笑)