なんでもない日に100km走る。
どこかの百貨店のキャッチコピーではない。「なんでもない日に妻にジュエリーを贈る」みたいな。
いずれにしてもオレにとっては無理難題、だ。
オレは独り言を口にしていた。声に出してハッキリと、だ。
「よし!残り一ケタ(km)勝ったも同然!」
「よし!脚は動いてる!」
「よし!・・・」
「よし!・・・」
「よし!・・・」
「よし!最後の街に入った!」
かなり大声で、もしかしたら叫ぶように言っていたかもしれない。
昨日2020年6月28日(日)、オレは100kmという決して短くはない距離を走った。その日は、本来であれば第35回サロマ湖100kmウルトラマラソンが開催されていた日だ。
しかし、新型コロナウイルスの影響で中止になってしまった。だから、その日は「なんでもない日」になってしまったんだ。その「なんでもない日」に、なぜかオレは100km走ったんだ。
その経験から得た教訓をまずここに書き記したい。
「なんでもない日に100km走ってはいけない」
なぜなら、とてもツラいからだ。
オレが独り言を口にし出したのは、90km過ぎあたりだったろうか。残り10km。その事実だけを聞けば、そこに「希望」がありそうじゃない?あと残すところ10kmじゃない、って。90km走ってきたじゃない、って。でもそこには「絶望」しかなかったんだ。
オレは「完走なんてできないんじゃないか」「低体温症になって(詳しくは知らないのに)倒れるんじゃないか」なんてマイナスな考えを頭から追い出すために、独り言を口にし出したんだ。トラックの爆音にかき消されないように大声で。
「よし!次の信号が最後の曲がり角だ!」
それは、およそ実現不可能な企画だとオレは高をくくっていたんだ。だから笑って聞き流していた。いやいやいや、って。ムリムリムリ、って。
「よし!残り一ケタ(km)勝ったも同然!」
「よし!脚は動いてる!」
「よし!・・・」
「よし!・・・」
「よし!・・・」
「よし!最後の街に入った!」
かなり大声で、もしかしたら叫ぶように言っていたかもしれない。
昨日2020年6月28日(日)、オレは100kmという決して短くはない距離を走った。その日は、本来であれば第35回サロマ湖100kmウルトラマラソンが開催されていた日だ。
しかし、新型コロナウイルスの影響で中止になってしまった。だから、その日は「なんでもない日」になってしまったんだ。その「なんでもない日」に、なぜかオレは100km走ったんだ。
その経験から得た教訓をまずここに書き記したい。
「なんでもない日に100km走ってはいけない」
なぜなら、とてもツラいからだ。
オレが独り言を口にし出したのは、90km過ぎあたりだったろうか。残り10km。その事実だけを聞けば、そこに「希望」がありそうじゃない?あと残すところ10kmじゃない、って。90km走ってきたじゃない、って。でもそこには「絶望」しかなかったんだ。
オレは国道36号線を一人ぼっちでひたすら「歩いて」いた。一緒に走っていたグループにはとっくに置いて行かれていた。
あ、48km地点から遅れだしたオレを(そんなに早くか!)何回も待って合流してくれる、やさしい人たちなんだけど、さすがに申し訳ないので先に行ってください、ってことで。
オレは残り12km地点くらいから、まったく走れなくなっていた。右ひざ周りが痛くて痛くて。練習不足だ。「痛いのガマンして走る」ってレベルは通り越していた。無理なんだ。でも進むしかない。歩き続ける。そして残り10km地点からは歩くのさえ、ツラくなってきた。何度も立ち止まった。今まで、どんなに走るのがツラくなっても、歩きまでツラくなったことはないのに。これはヤベーぞ、って。
「絶望」だ。
国道36号線は北海道の都市を結ぶ幹線道路だ。大型トラックが爆音を鳴らしながらビュンビュンとオレの横を通り過ぎる。トボトボ歩くオレに水しぶきを飛ばしながら。みじめだ。
とにかく「雨」なんだ。100kmずっと雨だ。霧雨になったり強く降ったり。とにかく雨が降っている。結局、夜中の0時にスタートして、オレがビリっけつでゴールしたのは夕方17時過ぎだ。
17時間ずっと雨にあたっている。
今までの人生でそんな経験があっただろうか。
しかも、気温も低い。日中は15℃くらいあったようだが、気づけば夕方頃には吐く息が白くなっていた。あと何日かで7月になるというのに。
残り10kmは間違いなく、今までのマラソン人生で(そんな大層なランナーではないけど)一番ツラいランだった。ランっつうか歩きだけど。いや、マラソンだけじゃなく、何から何までひっくるめて人生の中で「一番ツラい時間」だったと言い切れる。あ、48km地点から遅れだしたオレを(そんなに早くか!)何回も待って合流してくれる、やさしい人たちなんだけど、さすがに申し訳ないので先に行ってください、ってことで。
オレは残り12km地点くらいから、まったく走れなくなっていた。右ひざ周りが痛くて痛くて。練習不足だ。「痛いのガマンして走る」ってレベルは通り越していた。無理なんだ。でも進むしかない。歩き続ける。そして残り10km地点からは歩くのさえ、ツラくなってきた。何度も立ち止まった。今まで、どんなに走るのがツラくなっても、歩きまでツラくなったことはないのに。これはヤベーぞ、って。
「絶望」だ。
国道36号線は北海道の都市を結ぶ幹線道路だ。大型トラックが爆音を鳴らしながらビュンビュンとオレの横を通り過ぎる。トボトボ歩くオレに水しぶきを飛ばしながら。みじめだ。
とにかく「雨」なんだ。100kmずっと雨だ。霧雨になったり強く降ったり。とにかく雨が降っている。結局、夜中の0時にスタートして、オレがビリっけつでゴールしたのは夕方17時過ぎだ。
17時間ずっと雨にあたっている。
今までの人生でそんな経験があっただろうか。
しかも、気温も低い。日中は15℃くらいあったようだが、気づけば夕方頃には吐く息が白くなっていた。あと何日かで7月になるというのに。
オレは「完走なんてできないんじゃないか」「低体温症になって(詳しくは知らないのに)倒れるんじゃないか」なんてマイナスな考えを頭から追い出すために、独り言を口にし出したんだ。トラックの爆音にかき消されないように大声で。
「よし!次の信号が最後の曲がり角だ!」
それは、およそ実現不可能な企画だとオレは高をくくっていたんだ。だから笑って聞き流していた。いやいやいや、って。ムリムリムリ、って。
オレがこの企画を初めて耳にしたのは今年2020年3月に55km走をした時だったと思う。
「札幌から室蘭(むろらん)まで100km走らない?」「その名も【室RUN】」みたいな会話が聞こえてきて。
※最終的に札幌近郊の恵庭市から室蘭市までの100kmとなった。
オレは「バカでしょ」そう思った。もちろん口にはしなかったが。いや、もしかしたら面と向かって言ったような気もする(笑)「バカでしょ」って。
そもそも、なぜ、室蘭まで100km走るのか。そう問うべきだった。サロマ湖ウルトラマラソンのコースを走るのなら、まだ意味はわかる。なぜに室蘭なのか。
「室RUN」
このネーミングにしたいだけだったのではないか。
それにしても、話の出た3月の時点では、まだサロマの中止は決定してなかったはずだ。だから「もし中止になったら」みたいな話だったのかな。忘れたけど。
果たして4月にサロマの中止が発表された。新型コロナウィルスの影響だ。
その発表を聞いたオレが、まず思ったのは「サロマ中止か、残念だな」じゃなく、「まさか、室RUNあるのか?嫌だな」だった(笑)
いや、別に無理やり誘われたわけでもないんだ。嫌なら走らなければいいんだ。
だけど、日に日に「室RUN」の声が大きくなってくるんだ。
ことあるごとに「室RUN」が耳に入ってくる。マジでやる気なの・・か?
そして決定的な出来事が起きる。
そして決定的な出来事が起きる。
「コンビニとか下見してくるわ」とか言って、二人の強者ランナーによって「室RUN」コースの試走が行われたんだ。「デートで使うお店下見してくるわ」みたいな気軽さで。
何キロ試走したと思う?
100km
って、おい!
車じゃないぞ、脚で走ったんだぞ!脚でってのもアレだけど。そこまで「やられたら」ね?オレも走るしかないよね。
車じゃないぞ、脚で走ったんだぞ!脚でってのもアレだけど。そこまで「やられたら」ね?オレも走るしかないよね。
ってことで、走ってきました「室RUN」
やかましいわ!
やかましいわ!
それはもう、ツラいなんてもんじゃなかったよ。だって、なんでもない日に100km走るんだよ?ツラくないわけないじゃない。それはオレの知っている100kmでは、まったくなかったよ。200kmくらいあるんじゃないかと思った。
って言っても、2018、2019年のサロマ湖ウルトラマラソン2回分の100kmしか知らないんだけどさ。
サロマ湖本番でも、あれだけツラいんだよ?安くない参加費払って、できるだけトレーニングして、制限時間気にしながら、周りのランナーに元気をもらいながら走ってもあれだけツラいんだ。
なのに、なんでもない日に100km走るんだよ?途中リタイア全然OKなんだよ?でも走り続けるんだよ?
新型コロナウィルスのいろんなアレのせいで(ってことにしておいて)走り込みもままならない状態で(オマエが悪い)100km走るんだよ?ツラくないわけないじゃない。
80km地点。黄色いのがオレ。完全に死んでます。今見ると、なんか笑える。でも、オレはやったよ。オレはやったんだ!
もちろんオレ一人の力じゃない。一緒に走ってくれたランナー(強者ぞろい)のおかげだし、いろいろサポートしてくれた人たちのおかげだ。
札幌の人気居酒屋「金富士」の店主も一緒に走ったので、「チーム金富士」なるマラソンチームの全面協力により(打ち上げにだけ顔を出していた人もいたような・・笑)サポートは万全だった。
何より、100kmの道中、ずっと自転車(なぜに折り畳み自転車!)で並走してくれたのには助けられたよ。
ほら、オレが何回も集団から遅れちゃうじゃない。
そういう時、グループとオレを行き来してくれて状況を連絡してくれるんだ。スマホで連絡取れないこともないんだけど、オレ、瀕死の状態だし(笑)雨が降ってるしで、スマホ使うのも億劫で。ホント助かった。写真も撮ってくれて。
あと、エイドも設置してくれて。
「誰かが応援してくれている」
これ一つあるだけで、全然違うよね。ランナーなら、きっとわかってもらえると思う。
その他にも、いろいろ協力があって、なんとか、なんとかこんとか100km完走できました。かなり歩いたし休んだけどな!17時間だもん。
そして今、とても脚が痛い。右ひざ。腫れてます。
くれぐれも・・トレーニング不足のままで100km走ることのないように。100kmをナメたらいけない。まぁ、一番ナメてたのがオレだけど。
だから、オレレベルのランナーは「なんでもない日に100km走ってはいけない」と、強く強く言っておきたい。独り言を大声で言うハメになるぞ(笑)
やるなら、しっかりトレーニングを!
まだまだ書きたいことはあるので(Onクラウドウォータープルーフ(防水シューズ)についてとか)また次回。
あーツラかった・・
とはいっても、やっぱりゴールした後は「やってよかった!」そう思えるのがマラソンだよね。
札幌の人気居酒屋「金富士」の店主も一緒に走ったので、「チーム金富士」なるマラソンチームの全面協力により(打ち上げにだけ顔を出していた人もいたような・・笑)サポートは万全だった。
何より、100kmの道中、ずっと自転車(なぜに折り畳み自転車!)で並走してくれたのには助けられたよ。
ほら、オレが何回も集団から遅れちゃうじゃない。
そういう時、グループとオレを行き来してくれて状況を連絡してくれるんだ。スマホで連絡取れないこともないんだけど、オレ、瀕死の状態だし(笑)雨が降ってるしで、スマホ使うのも億劫で。ホント助かった。写真も撮ってくれて。
あと、エイドも設置してくれて。
「誰かが応援してくれている」
これ一つあるだけで、全然違うよね。ランナーなら、きっとわかってもらえると思う。
その他にも、いろいろ協力があって、なんとか、なんとかこんとか100km完走できました。かなり歩いたし休んだけどな!17時間だもん。
そして今、とても脚が痛い。右ひざ。腫れてます。
くれぐれも・・トレーニング不足のままで100km走ることのないように。100kmをナメたらいけない。まぁ、一番ナメてたのがオレだけど。
だから、オレレベルのランナーは「なんでもない日に100km走ってはいけない」と、強く強く言っておきたい。独り言を大声で言うハメになるぞ(笑)
やるなら、しっかりトレーニングを!
まだまだ書きたいことはあるので(Onクラウドウォータープルーフ(防水シューズ)についてとか)また次回。
あーツラかった・・
とはいっても、やっぱりゴールした後は「やってよかった!」そう思えるのがマラソンだよね。
関連記事
Follow @shibu_ken
スポンサーリンク
コメント
コメント一覧 (16)
歴代の中でもかなり衝撃的な内容でした🤣雨の36 号線を17 時間…サロマがどんなに恵まれてたか伝わります😱サロマロスで皆さんそれぞれ走ってたみたいだけど、室RUN 恐るべし。シブケンさんナイスファイトでした!
読んでて膝が痛くなってしまいました。
ずっとびしょ濡れで…。
写真のシブケンさんの足の手前にある、
ヒメジョオンとサルビア(知らんけど)がなんだか涙を誘います。
でも文章は面白かった。
しっかりとケアをしてくださいね。
なんでない日に、しかも雨の中100kmマジ尊敬します!
室RUN走っちゃおうぜっていうノリ、素敵すぎる!
でも膝が心配です💦
無理しないでくださいねー
しっかり休養して、元気に復活することを祈っております🙏
洞爺湖マラソンの日に42.195kmを一人で走った自分もまわりに言わせれば、そこそこのバカらしいのですが、まさかサロマ版があったとは(驚)!!!
自分は、応援をもらうために、「一人洞爺湖マラソン」とゼッケンをつけて走って、生暖かい声援をもらいながら走ったのですが、それでもやはり単独走はきつかったです。
今度、同じようなランをやる時はぜひ参加させてほしいです。
次は8/29(道マラ?)でしょうか(笑)
しっかり休んで膝をいたわってあげてくださいね!
もうウルトラマンですね!
ありがとうございます!
いや~歩くのもツラくなったのには絶望しましたね。初体験でした(笑)
それにしても、まさか17時間もかかると思いませんでした・・サロマは12時間くらいだったので。プラス5時間!
ありがとうございます!
いや、もう、右ひざ周り腫れちゃって。こんなダメージ初めてです。
でも、思ったより回復早そうです!
確かに、なんか花写ってる(笑)
ありがとうございます!
いやいや、100kmは「走っちゃおうぜっ」って距離じゃなかったです・・
一緒に走った強者どもに、強く抗議しておきます。悪フザけもいい加減にしろって(笑)
あれ、参加させてほしいって言っちゃった?あーあ(笑)声かけるね!
それにしても、一人で走るってツラいね・・いろいろ自粛も解除されてきたし、もうちょいがんばって走るとするかな!
ありがとうございます!
気持ち的に一番ツラいのは60~70kmですかね~。「まだフルマラソン残ってるのか!」って一番考えちゃいけないやつが、頭を過ります。
ウルトラは、ちゃんとトレーニングしないとダメですね・・
大会以外の100km走は地獄ですよ。
(ちょっと参加したいと思う自分も変態かな?)
同い年として尊敬します。
でも17時間はDNFです。(笑)
冷たい雨の中を17時間も…すごいです。絶望さが伝わってきました。
自分が人生で一番ツラかったのは間違いなくチャレンジ富士五湖118㎞の時ですが、人生で一番ツラかった経験の事をはっきりと覚えているっていうのは、これからの人生で大きな財産ですよね。
何はともあれ本当にお疲れ様でした。まずはゆっくり身体を休めてください。
大好きな名言を。
「時に、スタートすることはフィニッシュすることよりも大切だ」
つうか、ちゃんとフィニッシュしてますから!なぜなら、なんでもない日に100km走っただけなので制限時間はありません(笑)
とはいえ、一緒に走った本物の変態たちに比べたら、私なんてフツーの市民ランナーですよ。
いや~ツラかった・・
確かに、この経験を覚えているのは財産になりますね!と、思うと同時に、あの悪夢を早く忘れてしまいたい気持ちもあったり(笑)
だって、今度ウルトラ挑戦するとき「また、アレか」と思っちゃいそうで。
いや、「アレよりマシだろ」って思えそうだから、やっぱり財産か!
たぶん、トムさんの富士五湖118㎞もそうだったと思いますけど、最後の方の「1km」が長いこと長いこと(笑)
あとはその膝、大事にしてくださいね!腫れてるとかヤバイっしょ!
でもナイスを超えてすごいチャレンジでした、おめでとうございます! 室蘭焼鳥(豚)食べられましたか?Sさん(スーパーレディのS)は1本しか食べられなかったって書いてあったから^^;
翌日に少し走るってのは理解できなくもないですけど、20kmて!(Yさん)
いや、脚が腫れるって初めてなのでビビってましたが、痛みは思ったよりひいてきて。
意外に回復は早そうです!
室蘭焼鳥は2本!食べれました(笑)
いや~みんな強いわ!オレも、も少し頑張って走りこもうと思いましたよ・・