
限界は何が決めるのか?
走りながら死ぬやつはいない。その謎を解き明かすのが本書だ。トレーニングマニュアルではない。
走りながら死ぬやつはいない。その謎を解き明かすのが本書だ。トレーニングマニュアルではない。
たとえば舞台はオリンピック。
一世一代、人生をかけた勝負だ。あと少しで金メダルに手が届きそうな2位の選手がいる。死に物狂いで1位を目指して走るだろう。限界ギリギリまで。しかし、結局2位でゴールする。その選手はゴール後に倒れ込むことはなかった。もしかしたら、笑顔で声援にこたえるかもしれない。
果たして、この選手は限界ギリギリまで自分を追い込んでいたのだろうか。
追い込んでいたとは思う。なんせ一世一代の勝負だ。限界ギリギリまで追い込んだはずだ。だけど「死ぬまで」は追い込んでいない。それ以上スピードを上げることは「本当に」できなかったのだろうか。
限界は何が決めるのか?
乳酸の蓄積量なのか。最大酸素摂取量なのか。摂取エネルギーなのか。水分補給なのか。痛みなのか。それとも脳が決めているのか。
乳酸の蓄積量なのか。最大酸素摂取量なのか。摂取エネルギーなのか。水分補給なのか。痛みなのか。それとも脳が決めているのか。
答えはこうだ。
よくわからない。
人間の限界、それは謎に満ちている。
多くの科学者や研究者が、その謎を解き明かそうと仮設を立て実験を繰り返す。
人間を機械として見たときに、たとえば、マラソン最速タイムの限界値を計算で導き出せるのだろうか。車のエンジン性能から最高速度を導き出せるように。
ガソリンがなくなれば車は止まる。果たして人間は何が「不足」すれば止まってしまうのか。
わらからないんだ。
自分のマラソンレースを思い出してほしい。
自己ベストを狙ったレースだ。レース終盤、脚はもう限界だ。ペースは落ちている。設定していたペースを維持するのは難しい。それでも「限界」の状態で走り続ける。
最終コーナーを曲がってゴールゲートが見えた。その横に時間表示のパネルも見える。自己ベスト更新までギリギリのタイミングだ。間に合うかもしれない!
そこから爆発的なラストスパートが始まる。
逆に、時間がもう過ぎていたら・・
限界は何が決めるのか?
この場合は「気持ち」とか「想い」とかそういった人間特有の不確実なものじゃないのか?少なくとも、血液中の乳酸蓄積量ではないだろう。
この本も読み進めていくと、最後にそこにたどり着く。人間特有の不確実なものに、だ。
まずは「痛み」「筋肉」「酸素」「暑さと熱」「のどの渇き」「エネルギー」「脳のトレーニング」の順番に章立てて解き明かされていく。それぞれ限界を決める要素として、なるほどな、と、納得しながら読み進むことができる。
問題は最後の章だ。
最後の章は「信じること」についてだ。信じることが大切だという。最後にそこにたどり着く。
問題は最後の章だ。
最後の章は「信じること」についてだ。信じることが大切だという。最後にそこにたどり着く。
いやいや、散々科学的に分析して結果を積み上げて、結局それかい!と思わなくはない。ある意味ちゃぶ台返しだ(笑)
プラセボ効果についても実験され実証されていることには驚いた。
たとえば、何の効果もないジェルをエナジージェルだと言って服用させてみると・・パフォーマンスが向上したという。
信じる力だ。
この本で一つの軸になっているのが「人類はフルマラソンで2時間切りはできるのか」というテーマだ。そう、ナイキが2014年から取り組んできた2時間切りへの挑戦「Breaking2プロジェクト」だ。
その挑戦の過程を知ることができる。給水について。摂取エネルギーについて。例の厚底シューズについて。そして信じる力について。
挑むは、リオデジャネイロ五輪マラソン金メダリストのエリウド・キプチョゲだ。
キプチョゲはインタビューで何度も「信じる」ことについて語ったという。
「考え方が違うだけです。あなたは無理だと考えている。私はできると考えている」(かっこいいな、おい!)
2017年5月6日、キプチョゲが走り出す。果たして、その結果は・・
そして本書は、こう締められる。
「もし最後の瞬間がやってきたとしても自らがそう信じるなら、限界はまだ先にある」
マラソンなど、エンデュランス系(持久力系)のスポーツをやっている人なら、誰もが興味を持つ内容になっていると思う。ぜひ読んでみてほしい。
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コメント
コメント一覧 (4)
らしくないです。もっと宇宙空間に飛び出したような考察が欲しかった!!
いやいや、基本マジメですから。
他のフザけたブログと間違えてませんか?(笑)
ブログ楽しみにしてます
いやー、ホント箱根どうなるんでしょうね・・
沿道の応援なしとかで開催できそうですけどね。それはそれで寂しいですけど。
つうか、沿道の応援をゼロにするなんて無理でしょうけど。
なんとか開催してもらいたいものです。