誰かにランニングを勧めるときに、言ってはいけない言葉がある。
その一言は、相手を恐怖のどん底に突き落としてしまうからだ。

「足の爪、はがれるよ」

ケガの中で「爪がはがれる」ほど、恐ろし事があるだろうか。
「爪がはがれる」と言ったら、拷問だ。拷問は恐ろしい。組織の秘密を白状しなければ、1枚づつ爪をはがされていくんだ。そんな恐ろしい目にあってまでランニングしたいやつはいない。いや、別にランニングしたからといって拷問されるわけではないが。

といはいえ、足の爪がはがれるというケガは、ランナーの間では割と頻繁に起きるケガといっていいだろう。
いや、頻繁に、は言い過ぎかな。だけど決して珍しいケガではないはずだ。オレも過去に通算4本(たしか)やってるしね。周りのランナーからも、よくそれ系の話を聞く。SNSにその写真を載せている人もチラホラいるし。オレはそういう写真を見るのが弱いから「やめてくれや!」と思うけど(笑)
できればそんなケガはしたくないが、だけど、ケガをしたことで学ぶこともある。

爪はまた生えてくる。

いや、そんなことじゃなくて。たとえば靴のサイズが合っていないんじゃないか、とか。靴のヒモの締まり具合に問題があるんじゃないか、とか。着地に無理がかかっているランニングフォームなんじゃないか、とか。
ケガをしたことで、問題が浮き彫りになり、そしてそれを改善するために調べて学ぶことになる。

このことから、痛みを恐れてはいけない、と提言したい。痛みから学ぶことは多い、と。もちろん、より速くとか、自己ベスト更新を狙っているランナーに限った話だ。のんびり楽しく走ればいい、って人は無理をする必要はこれっぽっちもない。

できるなら、足の爪がはがれない人生の方がいいに決まってるからね。

だからといって、自己ベストを狙うなら大ケガするまで無理をしろ、という話ではない。ケガをしてはいけない。再起不能なんかになったら、それこそ本末転倒だ。

そうだな、せいぜい、すごく痛い筋肉痛まで、かな(笑)

たとえばオレは、先日慣れないトレイルマラソンに挑戦して、両足の太モモをゴリゴリに痛めた。


まぁ、ただの筋肉痛といえばそうなんだけど、しばらく階段を降りるのが困難な状態だった。あまりの痛さに、これはただの筋肉痛じゃないんじゃないか?と恐れたが、ただの筋肉痛だった。別に治療しないでも治ったからね。10日かかったけど。
その7日目か8日目に15km走ったことがあって。多少痛みはあったけど、ほぼほぼ治ったと思ったから。

そしたら、下り坂がとんでもなく辛かったんだ。

ちょっとした下り坂でも、だ。ほぼほぼフラットじゃね?っていう下り坂でも太モモが痛くて辛かった。フラットも上り坂も、まったく問題なかったのに、だ。

このことからオレが学んだのは、下り坂はものすごく脚に負担がかかっている、ということだ。

脚が痛くない時には気付かなかったことだ。最近、せかっく身についてきたフォアフット着地も、下り坂は難しい。どうしてもかかと着地になってしまう。それはある程度しょうがないことだと思うけど、やっぱり着地の衝撃はフォアフット着地に比べて大きくなる。

オレはレース中に下り坂があると、「ここでタイムを稼ぐか」とかいって飛ばすタイプだった。大股で勢いよく飛ばしていたものだ。ヒャッホー状態で。

もう、それはやめる。下り坂は歩幅を狭く、できるだけそろりそろりと走ることにする。
レースが長い距離になればなるほど、下り坂で受ける脚への負担は、レース後半に響いてくると思うからだ。

ちょっとした下り坂でもナメてはいけない。

太モモのゴリゴリの痛みから学んだことだ。
そう、その最近身についてきたフォアフット着地にフォームを改善するときも、痛みは伴った。ふくらはぎが張って張って大変だった。フォアフット着地に挑戦したことのある人は経験があるだろう、ふくらはぎの張り、痛み。

過去に挑戦した時も、同じようにふくらはぎが張ってさ。その時オレは「こんなフォームで走れるわけねーわ」とすぐに諦めてしまったんだ。
でも、今回はがんばってみた。ふくらはぎが張るということは、どこか間違えているんだな、と考えて。ふくらはぎが張らない着地ポイントや膝の動きなんかを「探りながら」走り続けたんだ。多少痛いのは我慢して。

痛いからこそ「痛くないようにしたい」という気持ちがはたらく。痛いからこそ、痛くないポイントを探ることができる。
そして、ある1歩が、ものすっごく軽い着地になって。ここだ!って。

オレは痛みからフォアフット着地を学ぶことができたんだ。

考えてみたら、マラソンってすべてのことは痛みから学ぶ、って言ってもいいくらいじゃない?
ランニングシューズ選びを筆頭に。自分に合ったシューズを見つけるのは、そう簡単じゃない。オレも今まで、何度も靴擦れの痛みを経験した。
水分補給もその量が難しい。足りなくて脱水症状になるとか、逆に飲み過ぎて腹ピーピーになったり、とか。(飲み過ぎが原因じゃないかもしれないけど)
男性ランナーだったら、Tシャツに擦れてビーチクが痛くならないようにテープを貼る、とか。痛みを和らげるために、脚のどこそこにテーピングする、とか。
失恋して胸が痛くて・・優しさを学ぶ、とか。それはないかマラソンで。いや、どうだろう(笑)





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コメント

 コメント一覧 (2)

    • 1. てっぺい
    • 2020年10月01日 17:25
    • 下り坂…。上りのタイムを取り戻そうとつい欲張って飛ばしてしまいます。思えば豊平川TRIALで30kmで早々に脚が売り切れたのも、下りで欲張ったからかもしれません!
      何でも欲張るのはダメですねぇ…。

      私は距離に応じて欲張るか欲張らないかを決めようと思います。少なくともフルで欲張ったらダメですね(笑)
    • 2. シブケン シブケン(管理人)
    • 2020年10月01日 17:41
    • てっぺいさん
      まぁ、距離にもよるんだろうけどね。
      ハーフくらいまでなら、ビシビシ行ってもいいかもしれないけど、それ以上は影響でるんじゃないかな、とオレは思ったよ。すごい衝撃きたもんだから。逆に上りは楽に感じた不思議。
      本番まであと1ヶ月、がんばろう!
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