あいつには敵わない・・

誰しも人生の中で、そんな人に出会うのではないだろうか。「敵わない人」だ。
学校の同じクラスにいたと思う。いつも100点をとるクラスメイトが。でももし、そのクラスメイトが毎日コツコツと勉強しているタイプであれば「敵わない人」ではない。同じくらい勉強すれば、100点を取ることは不可能ではないからだ。

授業中いつも寝ているのに100点を取るやつ。これが「敵わない人」だ。

ランニング仲間にもいると思う。「敵わない人」が。
タイム的なことを言っているのではない。もちろん、タイム的にも敵わない人は大勢いる。いるけど、タイムに関しては、ある程度までなら勝負を挑める場合もある。それを目標にがんばることもできる。「敵わない人」は違う。勝負を挑む気にもならない。そもそも戦い方がわからない。戦ってもいないのに圧倒的な敗北感がある。

たとえば先日キャンプに行った時の話だ。
説明するまでもないが、キャンプは自然の中で行う。家の近くの児童公園でテントを張って焚き火を囲むことはできない。なぜなら、消防車が来てしまうからだ。
自然を求めて郊外へ移動しなければならない。その日向かったのは、札幌中心部から30キロほど離れたキャンプ場だ。車で行くと、なんやかやと1時間くらいかかるだろうか。
そして、このキャンプにランニング仲間を誘ってみたんだ。

走って来たよね。

30キロの道のりを走ってきたんだ。
テントとか寝袋を背負って走って来たわけじゃないよ。
走って来るっていうから、キャンプ用具はこっちにまかせておけってことで。それでも、割と重めの荷物は背負っていたから驚く。

まぁ、ここまでならギリ、オレでもできるかもしれない。走ってキャンプ場に行く、ってところまでは。30キロくらいなら。ギリね。絶対にやりたくないけど。

だってキャンプって疲れるもん。走って到着したあとに、残された体力でキャンプを楽しむ自信がない。
疲れてすぐに寝てしまいそうだ。でも、走って行くところまではギリ、出来なくはないと思う。

一泊して次の日。そのランニング仲間は走って帰っていったんだ。キャンプマラソン

「敵わない人」だ。

それは無理だ。一泊した後、キャンプ場から30キロの道のりを走って帰るのは、オレには無理だ。オレはキャンプ慣れしているとはいえ、100%快適な睡眠をとることは難しい。どっかこっか体が痛い。前の晩は酒も飲む。体がダルいに決まっている。体調万全で朝を迎えることは少ない。それがキャンプだ。

車で帰るのだって、めんどくさいくらいだ。
車の席は空いていた。「帰りくらい乗って帰ればいいでしょ」って言ってみた。

「帰りは下り坂だから大丈夫」だって。

そういう問題じゃないんだよ(笑)。走らなきゃ死んでしまう、そんな勢いだ。「敵わない人」だ。だからといって、すごく走る人だけが「敵わない人」ではない。事はそう単純じゃない。

毎年春先に、札幌から55キロ先の温泉施設までランニングするイベントがある。イベントと呼ぶほど大袈裟なものではないかもしれないけど、男性ランナーのTさん発案のもと、数年前から毎年開催されているようだ。オレはここ2年ほど参加させてもらっている。


途中いくつかのコンビニをエイドとして休憩しながら、55キロの道のりを走って行くんだ。

ある時、48キロ地点を過ぎたあたりだったかな、オレが付いていけなくなってしまって。みんなには先に行ってもらったんだ。
一人でえっちらおっちら走って行ったら、最終エイドのコンビニでみんな待っていてくれてね。50キロ過ぎ、ゴールまで残り4キロってところだ。

Tさんがいないんだ。

「消えた」と表現したくなるくらいにTさんは突然いなくなってしまったんだ。
オレが遅れだした、48キロ地点では確かに一緒に走っていたんだけど。「あれ?Tさんは?」聞くよね。

「バスで先に行ったわ」

よくわからないけど、そういうことになっていた。
Tさんはゴールまで残り4キロを残して、走るのが嫌になってバスで温泉施設に向かったという。
オレが温泉施設に着いたころには、Tさんはひとっ風呂浴びて、ビールジョッキ片手に休憩スペースに鎮座していた。

「敵わない人」だ。

別に脚にケガをしている様子もない。それどころかピンピンしている。繰り返すがTさん発案のイベントだ。55キロという、決して短くない距離のゴールを目指して走ってきたんだ。

残り4キロで嫌になってやめる。

わからない。
ケガをしたわけでもないのに、オレにはそんなことできない。50キロ以上走ってきて途中リタイアしたくない。
そして、その理由を聞いても、「いや~なんか嫌になって」とか笑っている。

「敵わない人」だ。

そういえば、もう一個思い出した。キャンプに走ってきた一人が、初めて東京マラソンを走った時、疲労骨折していたという。走っている最中に疲労骨折したわけじゃないぞ。「疲労骨折していたけど」レースに参加したというんだ。そして完走して。フルマラソンを、だ。

「けど」の使い方を間違えていると思う。「眠いけど、仕事をがんばった」、そういうことはあるだろう。よくがんばったな、と褒めてやりたい。これが正しい「けど」の使い方だ。

「疲労骨折していたけど、フルマラソンを走った」、これは間違いだ。「けど」の使い方を間違えている。


「敵わない人」だ。

良い子のみんなは、くれぐれも「敵わない人」のマネをしないように。





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コメント

 コメント一覧 (4)

    • 1. pen
    • 2020年11月11日 12:58
    • 登場する方々、存じ上げているラン友なので笑いが止まらない~
    • 2. シブケン(管理人)
    • 2020年11月11日 13:13
    • penさん
      ホントに困った人たちです(笑)
    • 3. 三重人
    • 2020年11月13日 16:09
    • 5 独身時代の15年以上前、悪友5人で、
      毎年、留寿都にスキーしに行ってました。
      留寿都2泊、札幌1泊の旅行です。

      2日目の夕方、悪友Hは、胸を強打しスノーモービルで運ばれ、病院送り。
      鎖骨にヒビが入り、唾を飲むだけで痛い状態です。普通なら旅行中断して、家帰るでしょう。
      しかし彼は、札幌に移動しススキノの繁華街に繰り出し、キャバクラ、そして、ソープにも突撃しました。帰りの飛行機でさすがに痛みに耐えきれず、最後尾の席で唸っていました。

      今まで、敵わないと思ったやつは、彼だけです。
      マラソンの話してるんだったけ?
      すいません。
    • 4. シブケン(管理人)
    • 2020年11月13日 16:51
    • 三重人さん
      たぶん、その悪友Hは普段からワイルドなやつだったと想像します。
      だとすれば、もし私がその場にいたとすれば、悪友Hがスノーモービルで運ばれるシーンで爆笑していると思います。すいません。
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