誰だってダメランナーにはなりたくないはずだ。
オレだってなりたくない。できればみんなに「すごいランナーだね」と褒められたい。褒められたいから走っていると言ってもいいくらいだ。
日々、SNSをのぞいていると、自分だけがダメランナーなんじゃないか、そんな気がしてくるものだ。いつだってSNS上では百戦錬磨なランナーたちの武勇伝が踊る。
それにくらべて、ダメランナーたちの発言はそれほど目立たない。それは当然のことだ。
「特に語ることがない」
そういうことだ。
ダメランナーにはなりたくない。しかし、意外にその境界線を見定めるのは難しい。
たとえば先日、こんなランナーがいたんだ。30代前半の陽気な男だ。
今まで何度かフルマラソンを完走しているという。割と得意げにそのことを語るものだから、一応タイムを聞いてみたんだ。どのくらいでゴールしているの?と。
5時間半くらいという。
意外に遅かった。
いやいや、オレなんかに他のランナーのタイムをとやかく言う資格はないよ。ないし、フルマラソンを完走するだけで十分にすごいことだと思っている。そして、その陽気な男は、その場の雰囲気の中で「あえて」得意げに語ったことはわかっていたよ。その場には自分より速いランナーが何人かいるのを知っていたはずだから。
わかっていたけど、意外に遅いな、そう思った。
30代前半の健康で陽気な男が、何度かフルマラソンを完走していて、そのタイムが5時間半。それを得意げに語る。
この男はダメランナーなんじゃないか、そう思った。
ところが、だ。その次のエピソードを聞いて、評価は逆転した。「ダメ」から「すごい」に。
「一回も練習したことないけどね」
その陽気な男は、確かにそう言った。
一回も練習しないでフルマラソンを走る。だとすれば、ある意味すごいランナーなんじゃないか。まぁ、「初」フルマラソンに挑戦するときは、NO練習でも「なんとかなるべ」とナメてかかる人もいると思う。
一回も練習しないでフルマラソンを走る。だとすれば、ある意味すごいランナーなんじゃないか。まぁ、「初」フルマラソンに挑戦するときは、NO練習でも「なんとかなるべ」とナメてかかる人もいると思う。
だけど、一回、あの果てしなく長い道のりを経験した後で、再度挑戦するなら多少は走り込むのが人情というものではないか。もしくは、二度と走らないか。
NO練習で何度もフルマラソンを走る男。
なかなかすごいことかもしれない。だからダメランナーの境界線は難しい。
だって、オレはビビりだから、初フルマラソンに挑戦するまでにそれなりの段階を踏んだからね。10kmレースを何度か走って、ハーフに挑戦して、そしてやっとフルマラソンに挑戦したものだ。その時は、それなりに走り込んでいたはずだし。いや、だいぶフルマラソンの経験を積んだ今でも、NO練習でフルマラソンを走る度胸はない。
この陽気な男の話から、タイムが遅いからといって必ずしもダメランナーではない、ということがわかるが、逆に、タイムが速くてもダメランナーもいるということを知ってほしい。
知り合いのサブ3ランナーの話だ。
大会当日、GPSウォッチを忘れる。
ダメだ。ダメすぎる。サブ3ランナーだ。文字通り一分一秒を争うゾーンで走るランナーの生命線だろ、GPSウォッチ。
大会前日に「明日の持ち物リスト」を思い浮かべたときに、かなり上位にいるだろ、GPSウォッチ。ヘタしたらランキング1位だろ。わざわざ「下着のパンツを履く」からリストアップするわけもないし。「ランニングシューズを履く」だって、そのリストには入ってこないのではないか。
いや、中にはいたかもしれないよ。ダメランナー代表みたいなやつが。
「スタートラインに立ってはじめて自分がゲタをはいていることに気付いた」みたいなダメランナーが。
それにしても、GPSウォッチだ。
まぁ、もしかして当日の朝、寝坊したかもしれない。それで慌てて家を出た。なんてことがあればGPSウォッチを忘れることもあるだろう。それはそれで、たまには自分の感覚だけで走ってみるか、そんな度胸を見せれば、あるいは「ダメ」を返上できたかもしれない。しかし、違った。
人にGPSウォッチを借りて走った。
たまたまスペアを持っている人がいたというからラッキーだ。
だけど、どうだろう。
サブ3ランナーだけど、人にGPSウォッチを借りて走る。
ダメランナーだ。
サブ3ランナーだけど、ダメランナーだ。ダメランナーの境界線は難しい。
そして、もちろん、オレもダメランナーだ。
今年2020年、1本だけフルマラソンの大会に出場することができた。11月のことだ。コロナ禍で大変な状況の中、大会を開催してくれて本当にありがたいことだった。
その大会でオレはサブ3.5を目指した。
長い間無理だと思っていたサブ3.5だ。ところが今年、ランニングフォームの改善に成功して(自分の中でね)割と調子がよくて。内心まぁまぁ自信があったんだ。
このブログとかSNSで「フォアフット着地、最高!」みたいなことをギャーギャーわめいて。
結果、レース途中で腰痛くなって立ち止まるは、フォトサービスの写真みたらバッチリ「かかと着地」してるわ、で。フォアフットどこ行ったんだ。

すげーダメっぽい(笑)

完全にかかと着地です。
フルマラソンの途中で立ち止まるなんて、久しぶりの撃沈っぷりだった。
フルマラソンの途中で立ち止まるなんて、久しぶりの撃沈っぷりだった。
まったくの、ダメランナーだった。フォアフットに泥を塗ってしまった格好だ(そんな影響力ねーわ)まぁ、ちゃんとフォアフットになっていないだけかもしれないけど(笑)
ところが・・そんなダメレースの結果・・自己ベストを1秒!!更新したんだ!!
ダメランナーの境界線は難しい。
いや、なんか、その「1秒更新」が逆にダメに思えたんだけど。
釣りに行って、まったく釣れなくて帰ろうと思って竿を上げたら魚がかかってた、みたいな。釣りの醍醐味どこ行った、みたいな。
釣りに行って、まったく釣れなくて帰ろうと思って竿を上げたら魚がかかってた、みたいな。釣りの醍醐味どこ行った、みたいな。
だって、オレ、完全にあきらめてたからね、サブ3.5がダメになった時点で。
まだまだ自己ベストは狙える位置にいたのに。GPSウォッチをほとんど見ることもなく。ゴール間際でスパートすることもなく。
結果、自己ベストを1秒更新。
そこはかとなくダメランナーだ。
来年こそ、なんとかダメランナーを卒業したい。
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コメント
コメント一覧 (6)
私も、去年のフードバレーとかち忘れました(笑)
持ち物ってよりも、普段していることが日常過ぎて忘れちゃうんです…。その日は顔を洗うために一旦はずして、そのまま洗面所に置いてました。気がついたときには高速乗ってました(涙)
フルマラソンに出るだけで既に、ダメランナーではないと思います。
ワタシは筋トレの一つとして、トレッドミルを取り入れているのだけど、
過去に
よそ見→バランス崩れ→落下 を2度やらかしましたからw
まーその時の恥ずかしさったら、筆舌しきれないからww
で、思いましたよ、、
「オレはダメニンゲンだ!!」
ってね、、、
仮にケンさんがダメランナーだとしても、
ワタシは「ダメニンゲン」ですよ。
どちらが「真のダメ」か、、
簡単に判りますよね。
「全日本ダメニンゲン選手権 トレッドミルの部」
なんてのがあったら、結構いいとこいくかも、オレ、、
あー、なるほど。日常使いしてるとそういうこともあるか!
オレは走るときだけだもんな~。だからかなり意識するから忘れそうもないな。ビビりだし(笑)
トレッドミル落下!それはなかなかですね(笑)
いやいや、「ダメニンゲン」選手権でも、私はけっこうアレですよ。
って、そんなことで争ってるのが、そもそもダメニンゲンですよね(笑)
大会でかならずリュックにミニ缶酎ハイを、
4本入れて走るランナーを知っています。
(レース途中で我慢できなくなることもあり)
フルを3時間25分で走る、ダメランナーです。
これはダメランナー決定だわ(笑)
なにより「ミニ」を4本ってところが。そしてタイムが速い。これはダメです。
オレもそうなりたい(笑)