
キミは笑いながら泣いたことがあるだろうか。
涙が流れるほど笑う、ということではなく。
おかしくて笑っていたはずが、いつの間にか感動して泣いていた、という話だ。
先日行ったジョインアライブで、オレはそんな経験をしたんだ。初めての経験だったかもしれない。
オッサンが音楽を聴いて涙を流した話なんて、誰も聞きたくないと思う。
オッサンのオレだって聞きたくないんだから。
「オッサンの涙」
この世で、これ以上にみっともないものを思いつくなら教えてほしい。
いや、オレだってさ、泣くつもりなんかなかったんだよ。
若い人たちの邪魔にならないように、ひっそりと(笑)フェスを楽しんでいたんだ。
参考記事:「オッサンは夏フェスに行ってはいけないのか?」
それが起きたのは、通りがかり的にサンボマスターのライブを見た時だ。
何やらアツい思いを客に向かって叫んでいる。
相変わらずアツいな、おい!とか思って笑って見てたんだ。
オレは別にサンボマスターのファンではないからね。
若者を鼓舞するような応援メッセージだって、オッサンのオレには関係ない。
途中から見たので、その文脈はわからないがこんなことを叫んでいたんだ。
「おめだぢ!(おまえたち)」と、お決まりの訛り口調で目の前の若者に叫んでいる。
「まーだ、ミラクル起きてんの信じでねーんだべ!!」
とかなんとか。
「まだこの次も、絶対生きて会おうな!!」
とかなんとか。
「ロックンロールが」どうしたとかこうしたとか。
その文脈を想像するに、
今ここで俺達が出会っているのはミラクル、なんだと。
ロックンロールがそのミラクルを起こした、と。
生きるのが辛くても死んじゃダメだ、生きてまた会おう、
ロックンロールでまた会おう!
のようなことだったと思う。
そして最後に、なにか自虐的なことを言っておどけてみせたんだ。
自分は見た目ダサいけど、とかなんとかって。
そしたら、みんな笑ったんだ。とても楽しい雰囲気だ。
そしたら、ボーカルの彼が「笑った!」「笑った!」「笑った!」「笑った!」って、次々に客を指さしながら叫んだんだ。
毎日が辛く死にたいと思っていても、ほら笑える!まだまだみんな笑える!笑った!笑った!笑って生きていこう、みたいなメッセージだったのだと思う。
そんなシーンを見て、なぜだろう、オレの目から涙があふれたんだ。
これから社会の波にもまれて苦しみながらもがんばって生きていくであろう若者達と、それに力いっぱいエールを送るミュージシャン。ひと夏のフェスで偶然居合わせた者同士が、ロックンロールでひとつになる。それはまさにミラクルな空間だったのかもしれない。
クサい話かもしれないが、いいなーと思った。
土砂降りの雨が上がった頃に見たNakamuraEmiのステージ。
小さい体ながら、とてもパワフルな歌声を聴かせてくれた。
「スケボーマン」という歌が、特に印象的だった。
スケボーに乗って夢を追いかけていた若者が、大事な人を守るためにその夢を捨て腹をくくった。それが大人になるということなのか、と。
そんな感じの歌だと思う。
そして、次の一節で、オレは胸がアツくなる。
「どんなオヤジもかっこよく見えた」
簡単には出てこないセリフだ。その若者の苦悩がうかがい知れる。
歌うNakamuraEmiの心の込め方がハンパない。
オレの頬を何かがつたう。さっきまで降ってた雨だろうか。
ベンジーこと浅井健一は一番小さなステージでの弾き語りだった。
サポートにキーボードはいたものの、弾き語りライブなんてめずらしいんじゃないか。
これはこれで、今まで見たことないし、素晴らしいステージだった。
「でも」と思ってしまう。
そして「でも」と思っているのは、オレだけじゃないみたいだ。
アコースティックギターでの弾き語りだったんだけど
時折、オーバードライブをかけて、歪んだ音でガツーンとリフを弾く。
それだけで、客は大盛り上がりだ。
その盛り上がりの意味するところは、オレにはわかる。
ファンがなにを求めているのか、オレにはなんとなくわかる。
それはきっと、オレが思っていることだから。
昔の曲を聴きたい、とかそんな単純なことじゃない。
いや、それもあるけど(笑)
盛り上がりが最高潮に達したのは名曲「ペピン」を歌ったときだ。
前の方にいたファンが両手の拳を突き上げる。
「うぉー!」て感じで。
そんな、いつまでもベンジーについて行くファンを見てまた胸が熱くなる。
いつかのベンジーを待っているのは、オレだけじゃないんだ、と。
年をとって涙もろくなったなー、オレ(笑)
だから、心揺さぶられるから、行くのやめられないんだよなー音楽フェス。
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