今年2021年の正月、オレはいつもと同じように箱根駅伝を見ていた。
そしてある時、選手が口にした「ありがとう」という言葉にとても感動し、涙した。
おいおい、いちいち「ありがとう」という言葉に感動してたら、涙が止まるヒマないだろ、そう思うかもしれない。
確かに箱根駅伝を見ていれば、多くの人たちが「ありがとう」を口にする。
選手だったら、指導してくれた監督への「ありがとう」だ。育ててくれた両親への「ありがとう」があれば、応援してくれる仲間への「ありがとう」もある。
そして、その逆も。監督から、がんばってくれた選手への「ありがとう」。両親や仲間から走る姿を見て勇気をもらった「ありがとう」。今年はいつもと違って、新型コロナウィルスの影響による大会運営の困難があったはずだ。そんな中、大会を開催してくれた関係者への「ありがとう」。
これらの「ありがとう」も確かに感動するが、それでいちいち涙を流すほどオレもヤワじゃない。まったく涙しなかったといえばウソになるが。何度か視界がにじむことはあったよね(笑)
違うんだ。視界がにじむどころの話じゃないんだ。
涙がオレの頬を伝って流れたんだ。それは意外な瞬間に聞こえてきた「ありがとう」だった。
人は予想だにしない意外な言葉を耳にした時、大きく感情を揺さぶられることはよく知られている。
その感情の揺れは、時に怒りに変わるかもしれない。悲しみに変わるかもしれない。愉快になることもあるだろう。あまりの衝撃に呆然としてしまうかもしれない。感動して涙してしまうことだって・・あるさ。
例えば遠距離恋愛をしている彼女が、久しぶりに地元に帰ってきた時だ。
毎日のように会って楽しい日々を過ごした。以前と何ら変わらない彼女の笑顔がステキだった。帰ってしまうその日も、新幹線の出発時間ギリギリまで二人で楽しく過ごした。
新幹線のホーム。お互い言葉は少ない。出発の時間だ。彼女は新幹線に乗り込む。プルルルル・・出発を知らせる電子音が響く。見つめ合う二人。彼女は唾を飲み込む。
次の瞬間、彼女は意を決して口を開く。それは意外な言葉だった。さっきまで楽しそうにしていたのに・・
「ごめん、向こうで好きな人できた。別れよう」
男は呆然と立ち尽くすしかなかった。やっとのことで「え?」っと声を絞りだす。彼女は下を向く。プシュー・・ドアが閉まる。彼女は下を向いたままだ。二度と視線が交わることはない。新幹線がゆっくりと、だけど速やかに加速して遠ざかっていく。男は空っぽになった線路を見つめている。そして言った。
「ありがとう」
これもまた意外な言葉だった。言葉を発した男自身、そんな言葉が自分の口から出てくるとは思わなかった。今まで一緒に楽しい時間を過ごしてくれた彼女への感謝の言葉だ。
これはこれでステキな「ありがとう」だが、オレが箱根駅伝を見ながら感動して涙を流した「ありがとう」とは、まったく別の「ありがとう」だ。
なぜなら、箱根駅伝に男女の別れをフィーチャーした物語はないからだ。
いや、もしかしたら大会の前日に彼女と別れて、その彼女に「ありがとう」の念を抱きながら走っている選手がいないとも限らない!(ぺこぱ)けど、表面的には、そんな物語はない。箱根駅伝、それは男たちが襷をつなぎながら箱根路を駆け抜ける物語だ。
それは復路での出来事だった。今まで見たことのない、いや、聞いたことのない出来事だった。襷を受け渡す中継所での出来事だ。
大変申し訳ないが、オレは箱根駅伝に詳しくない。
毎年楽しみに見ているのだが、その知識と言ったらニワカもいいところだ。だから、どこの大学の誰から誰への襷リレーだったか憶えていない。
確か東京国際大学だった気がするんだけど。で、7区から8区へか、8区から9区への襷リレーだったと思う。曖昧ですんませんね。
でだ。
その襷を受け渡す中継所の音を声をマイクが拾っていて。襷リレーの瞬間、襷を差し出す選手に襷を受け取る選手が言ったんだ。あくまで自然に「想い」が声になったような、やさしい言葉だった。
「ありがとう」
その瞬間に聞く言葉としては意外だった。あるとすれば「ナイスラン!」とか「よっしゃー!」とか「あとは任せろ!」的な威勢のいい言葉ではないか。違った。とてもやさしい「ありがとう」だった。
どんな意味の「ありがとう」なんだろう、オレは想像した。
「ここまで無事に襷を運んできてくれてありがとう」だろうか。
「順位を上げてくれてありがとう」だろうか。
「今まで一緒に走ってくれてありがとう」だろうか。
わからない。わからないけど、そんなことを考えていたらオレの頬を涙が伝った。
オレは今までこんなに心のこもったステキな「ありがとう」を聞いたことがないかもしれない。「ありがとう」という言葉を残して走り出すランナー。かっこよかった。
その後、そのランナーがどういう走りをしたかは、用事があったので見ていません。ごめんなさい。
いや、もうダメだね。年かな(笑)箱根駅伝見てると、涙、涙で。
ゴール間際の逆転劇はもちろん、レース的に大きなドラマがない、ただ走ってる(ただ、ってこともないけど)シーンを見てるだけでも、いちいち視界がにじむ。
ニワカなオレでもこれなら、のめり込んでる人、大変だろうね。
それとは逆に「箱根駅伝の何がおもしれーの?」なんて人も、たぶんたくさんいると思うど、そんな人に「ありがとう」の話しても、ポカーンだろうね(笑)
今回、最後の最後で逆転された大学が同じアンカーで来年優勝したら・・
涙腺崩壊間違いなし!がんばってほしい。
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コメント
コメント一覧 (10)
「ありがとう」って言いますよー(笑)
ありがとう
やめて~涙が止まらなくなるから(笑)
ありがとう、に
ありがとう(笑)
やばい奴(笑)
いや~無事開催されてよかったですよね~
やっぱり箱根駅伝はおもしろい!
いま息子が3歳なんですけど、万が一、箱根に出た日には先祖代々の遺影を持って応援に駆けつけて涙で遺影の文字を全部消せます!
あー!私も箱根駅伝のCM楽しみにしています。
泣けるの多いですよね~
余計なカロリーを消費するために、
5000TTを公園の周回コースで実施。
たまに、すれ違いの時に挨拶する程度の
ランナーと(大学生?のガチランナー)
4000メートル付近で並走する形になりました。
彼はおもむろに空を指差し、「見てください、
虹が綺麗ですよ」と話かけてきました。
死にそうになって走っていた私は
一言「ありがとう・・(教えてくれて)」
と伝えました。
彼が何故、おっさんにロマンチックな言葉を
かけてきたのは、わかりません。
その状況、想像したら笑えます