うんざりしている人は多いと思う。
じゃあ、どんな曲が24時間テレビのマラソンのゴールにふさわしいのか、と聞かれれば即答するのは難しい。
なぜなら考えたこともないからだ。
パブロフの犬よろしく、マラソンのゴールにはZARDの「負けないで」と決まっている。
クリスマスになれば山下達郎の「クリスマス・イブ」がどこからともなく流れてくるように。
布袋寅泰の「スリル」が流れれば、どこからともなくエガちゃんが飛び出してくるように。
まさかマラソンのゴールに「おどるポンポコリン」ってわけにもいかないだろう。
苦しそうな顔したランナーのバックで「ピーヒャらピーヒャら」流れたら、「バカにしてんのか」って怒られそうだ。
しかし、オレは「負けないで」が流れても、「バカにしてんのか」と思ってしまうんだ。
なぜだろう、24時間テレビのマラソンがそこまで真剣なものに見えないからなのか。あまりにベタな演出だからなのか。
ところで、もし、実際のマラソン大会のゴールで「負けないで」が流れたらどうなるのか。
果たしてそこに感動はあるのか。
オレはその現場に立ち会ったことがある。
なんてことない、普通の市民ハーフマラソン大会に出場したときだ。
オレはゴールした後、いつものように会場でダラダラ過ごしていたんだ。多くのランナーはゴールするとサッサと帰っちゃうけどね。なんなんだろね、アレ。みんな帰るの早えーよね。
オレがなぜダラダラ残っているかといえば、後からゴールしてくるランナーたちを応援するのが好きだからだ。オレより遅いということは、そう、はっきりいえば鈍足ランナーたちだ。
それを見て優越感にひたるわけではないぞ。
そのがんばってる姿を見ると、オレもがんばらなきゃ、って思えるんだ。
たとえば言い方は悪いが、今にも死にそうな(笑)じいさんランナーが、がんばって走ってたりすると、その思いは強くなる。「オレもあんなクソじじいに負けてらんねーな」って。
言い方悪すぎだろ。
そのとき場内アナウンスが告げたんだ。
「今、最終ランナーが競技場に入ってきます。みなさんで応援しましょう!」って。
もちろん、オレは応援に行った。ゴール地点にいる人はまばらだった。
スタートから3時間は優にオーバーしていた。いや、がんばってんなー。
キター!最終ランナーが競技場に現れた!
男性だった。30代だろうか。片足を引きずっている。瀕死の状態だ(笑)
いや、笑ったらダメだろバカ。それはオマエが来た道だ。そしてさっき見た、今にも死にそうなじいさんランナーは、オマエの行く道だ。
そうだな、オレもいつも無様なレースしてるもんな。この前なんて、走ってたら屁こいちゃったしな。
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数少ない観衆が、最終ランナーをパラパラっとした拍手で迎える。
その時だ!
「♪デレデレデレデレ まけないで~」
競技場に爆音でZARDの「負けないで」が流れだしたんだ。
カタルシス!
ものすっごい遅いスピードで、一歩一歩ゴールに近づく最終ランナー。
「♪負けないでもう少し 最後まで走り抜けて~」
爆音で流れるZARD。
パラパラっと拍手する少ない観衆。
「今、最終ランナーがゴールしました!」
とんだ茶番劇だったのは、ここだけの話だよ(笑)
そして、最終ランナーと曲に罪がないことは言うまでもないことだ。
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