キプチョゲだった。
2021年8月8日(日)東京2020オリンピック最終日に男子マラソンが行われた。結果、金メダルはキプチョゲだった。スタートからゴールまで、主役はずっとキプチョゲだった。
いや、スタート前からキプチョゲだった。
選手たちがスタートラインに並ぶ前、4名の選手が選手代表として紹介されたのを見たと思う。開催国日本からは大迫選手、あと、どこかの国の2名の選手(憶えてなくてゴメんなさい)。
そして、最後に前回リオ五輪の金メダリスト、ケニア代表のエリウド・キプチョゲ選手が紹介されて。
あと数分後、いや、数秒後にはスタートの号砲が鳴る時間帯だ。周囲はザワついている。
大迫を含む3名には、多少の笑顔はあるものの「それどころじゃない」って緊張感が漂っている。当たり前だ。五輪の金メダルをかけたレースがもうすぐ始まるんだ。
キプチョゲは違った。
とてもリラックスしていて、にこやかな表情だった。
「この辺でマラソン大会があるって聞いたので、出てみようかなと思って来ました」みたいな。
そんなわけないけど(笑)そのくらいリラックスして見えたんだ。オレが見た感じ、だよ。
もう、そこで金メダルは決まっていたのかもしれない。
いや、もっと前だ。もっと前に決まっていたのかもしれない。
オレはさかのぼること数日前、「キプチョゲって東京五輪マラソン(札幌開催)走るのかな」って、ネットでいろいろ調べてみたんだ。何にも知らなくてゴメんなさい。
だってほら、コロナの影響で出ない可能性だってあるわけだし。そこで見つけたキプチョゲのインタビュー記事を見て、オレは震え上がったんだ。
「私はまだ五輪での金メダルに飢えている」
だから札幌に行く、と。
「できれば金メダルを取りたい」とかじゃないんだ。金メダルに「飢えている」んだ。金メダルを取ったことがあるからこその欲望だ。金メダルの取り方を知っている人の欲望だ。
マグロを釣ったことがないのに「マグロの一本釣りに飢えている」と言う人はいない。
そして、コロナ禍での五輪開催について「東京五輪に向けたすべての国の参加は世界への希望の証だ」とし、最後にこう締めくくる。
「トンネルの先に光はある。それが私たちが(マラソンの開催地である)札幌に行く理由だ」
と。
なんかこう、次元が違う。こんな選手に勝てるわけねーだろ、そう思った。
レースがスタートした。キプチョゲは常にテレビ画面の中心にいた。
トップ集団の先頭になることもあれば、前に何人か置いて走ることもあったが、キプチョゲが常に中心にいた。
すごいオーラだ。
大御所トップ女優にだけ強い照明が当たっているように、キプチョゲが画面から浮いて見えた。
別物、だ。
オレにはキプチョゲが1人で走っているように見えた。常に自分のペースで走っていた。まったくブレないフォーム。苦しい顔ひとつしない。
キプチョゲが前に出たり後ろに下がったりするわけじゃない。常に自分のペースだ。その周りの選手が入れ替わり立ち代わり、前に出たり後ろに下がったりしているだけだ。
キプチョゲは1人で走っていた。
キプチョゲは1人で走っていた。
キプチョゲのそんな走りを見て、マラソンの経験者なら早い段階で「キプチョゲが勝つな」そう思ったのではないだろうか。
いや、経験者じゃなくとも「キプチョゲが勝つな」そう思ったに違いない。それだけ、圧倒的なオーラだった。
そしてレース終盤、30km地点が過ぎたあたりだったかな。キプチョゲは動いた。スっと前に出た。
「先にコンビニ行ってるわ」くらいの軽い感じで、スっと前へ出た。誰もついていけなかった。
そのまま金メダルだ。
東京五輪マラソンのキプチョゲの走りが「マラソンの答え」なんだろうな、そう思った。完璧だった。オレごときが言うのもなんだけど。
レースの勝ち方からランニングフォームから、何から何まで完璧だった。
スタートからゴールまで余裕の走りに見えたけど、細かいところを見れば暑さ対策もしっかりやっていたし。当たり前だけど。氷や水でこまめに体を冷やしていたよね。
それにしても強い。強すぎる。そしてレース後の会見を見て、その謙虚さにオレはうなるしかなかった。もう、誰も勝てねーわ、そう思った。
「この大会に向けて私は勝てるかどうか自信がなかった。ペースを守り、距離が取れたのでそれを維持した。結果が金メダルという形だった」
そんな絶対王者と戦った日本代表、大迫・中村・服部選手の走りにオレはシビれた。感動し、多くを学んだ。
まずは6位入賞の大迫傑だ。諦めない走りに感動した。
ラストレースの宣言。前を追いかけ続けた「鬼気迫る目」。ゴール後のインタビューで語ったマラソン界を思う気持ち。そして最後は6位をキープしようとした判断。
いくらがんばっても、追いつけないものは追いつけないんだという、マラソンの難しさも学んだ。その全てがかっこよかった。
最初から最後まで苦しいレースだった中村匠吾。
それでも42.195kmを走り抜いたその姿に感動した。スタート直後から2番手集団で走るその体調・気持ちはどんなものだったのだろう。
スタートラインに立った時から、その調子はわかっていたはずだ。実力からいえば、そんなわけないんだから。苦しかったと思う。それでもゴールした姿はかっこよかった。
ゴール間際、フラフラになりながらもゴールにたどり着いた服部勇馬。
オレは涙を流しながらテレビに向かって声を出して応援した。「服部がんばれー!」って。熱中症にかかっていた、というような記事を読んだ。それでもゴールを目指したのか。すごいな。
途中から、ずっと両手に氷の袋を持ったまま走っていたから、ヤバそうだなとは思っていたんだけど。まさか、ゴール間際であんなにフラフラになるとは思っていなかった。あの服部勇馬が!って衝撃だった。それでもゴールを目指す姿に感動した。かっこよかった。
やっぱり、マラソンって難しいスポーツなんだな。一流選手でも思い通り走れないこともあるんだから。
オレごときがうまく走れないのは当たり前だよな!まぁ、レベルに雲泥の差はあれど。
でも、あらためて思ったよ。マラソンに敗者はいないって。だって、どう見たって誰も負けてないでしょ!
ただ、キプチョゲが勝っただけだよ。完璧に、ね。
しっかし、あっという間の42.195kmだったな。マラソンおもしろすぎ。
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コメント
コメント一覧 (8)
沿道にシブケンさんも居るのかなーと思ってました〜。
マラソンおもしろ過ぎですね!
キプチョゲ選手は別格かもしれませんけど、どの選手もあのコンディションの中、すごいですよね〜。
感動しました〜。
そして完璧大迫ロスです…。
引退後、帰国して日本の若手育成してくれませんかね〜。
暑くて全く走ってませんが、9月になったら走り始めます。11月のフルにエントリーしてしまったんで〜。
これからもブログ楽しみにしてます。
あ、私も沿道にシブケンさんの姿を探してました(笑)
ブログ読んでくれてありがとうございます!
いやいや、沿道は観戦自粛だったので・・
大迫ロスわかります。8位から6位に上がったときはシビれましたよね!
11月のフルがんばってください!無事開催されればいいですね。
「チョゲ班長」(笑)
いやだから、沿道は観戦自粛だったので!
それについては語らないでおきます(笑)
いえいえ、誰かが言ってた言葉だと思うんですが・・詳細は忘れました(笑)
「大迫選手ばりにスピード上げちゃって・・」わかります(笑)私は五輪以来、キプチョゲになって走ってますから!全然なってないですが。
フォアフットに関しては・・私の拙い分析としては、厚底シューズだから「見た目」はそう見えないんじゃないかと・・イメージとしては「靴の中では」フォアフット着地になっているというか。違ってたらゴメンなさい(笑)