マラソンレースを走っているとき「予想外」の応援に驚いたことはないだろうか?
そしてその「驚き」は多くの場合「力」になる。そこからさらに頑張れた、なんてこともあるんじゃないか。なぜならそれは、驚くほどの応援だからだ。

たとえば両親の応援。
母親が応援に来ることはわかっていたんだけど。その横に父親も立っていて。なにか小さな旗まで振っている。「え!」って。スポーツは野球にしか興味がない父親だ。マラソンなんて、まったく興味がないと思う。
だから、なぜ応援に来たのかわからない。たぶん母親に連れてこられただけだろう。「あんたゴロゴロしてるなら、たまには応援でもしたらどうなの」なんて。

ま、オレはそんな経験ないけど。そういうこともあるんじゃないかなと思って。両親に応援されたらうれしいだろうな。

元カノの応援、なんてのはどうだろう。驚くんじゃないか。
そんな偶然めったにあることじゃないと思う。だけど、ラン仲間どうしで付き合ってた場合、あるかもね。出会いは地元のランニングチームだ。
結果、別れてしまったけど。お互い居づらくなってチームはやめてしまったけど、走ることは続けていて。走り続けていれば、どこかの大会で遭遇することもあるだろう。

悲劇的な別れがあったわけじゃない。
ちょっとしたすれ違いが原因で別れただけだ。レース後半、必死に走っている元カレがいたら応援しちゃうじゃない。そういえば何回挑戦してもサブ4達成できていなかったっけ。時計を見る。この時間帯ならいけるんじゃないか!

「サブ4、イケるよ!がんばれ!」大きな声で応援する元カノ。
なぜだろう、大勢が応援している人混みの中に、はっきりと元カノの姿を見つける元カレ。苦しくて声は出せなかったが、右手をあげて応援にこたえる。笑顔は出せただろうか。

その応援が「力」になって、元カレは見事サブ4を達成する。ゴール後、今にも倒れ込みそうだ。だけど、もしかしたら。もしかしたら元カノがゴール会場にいるかもしれない。フラフラになりながらも、周辺を探す。「男」のバカなところだ。しかし人生はそんなに甘くない。代わりに見つけたのは・・「オヤジ!」。なぜか父親が母親に連れられて応援に来ていた。手には小さな旗まである。「おう!」なんて言ってポカリスエットを投げてよこした。そしてそれはぬるかった。

もちろん、オレにそんな経験はない。

なぜだろう、それとは逆に「元カレの応援」となれば、ほのかに犯罪のニオイを感じてしまうのはオレだけだろうか(笑)
スタートしてすぐの沿道は、応援する多くの人でごった返している。その中に・・はっきりと元カレの姿を発見してしまった元カノであった。ワザと目立つところに立っているのだ。

別れてもう何年か経つ。まだあのヨレヨレのパーカーを着ているのか。胸に大きく「BACK TO THE FUTURE」と入ったあのパーカーだ。文字はだいぶ薄れてしまっている。はっきりと「こっちを見ている」。ニヤつきながら「がんばれー」といっている。何かの小さな旗も振っている。ヤレヤレと思った。

10km地点。え・・またいる。BACK TO THE FUTUREが。なにで移動してきたんだろう。公共交通で移動するには不便な場所だ。自転車だろうか。ニヤつきながら「がんばれー」といっている。なぜか小さな旗は持っていなかった。

そしてゴール会場。ゴール後チームのみんなのとお互いの頑張りを称え合っていると・・
人混みの向こうから、こちらに歩いてくるBACK TO THE FUTUREを発見した。「ごめん、これからフォロワーさんと会う約束あって」なんて適当なことを言ってその場から逃げる元カノ。怖いよ。

もちろん、オレはBACK TO THE FUTUREのパーカーは持っていない。

実は先日、オレはそれどころではない驚きの応援をされたんだ。その話を聞いてほしい。かつてこんな応援をされた人はいるだろうか。いないと思う。

2週間ほど前、札幌のシーズン最終戦となるマラソン大会が開催されたんだ。ハーフと10kmの部があったと思う。

オレはその1週間後につくばマラソンを走ることになっていたので、その大会は不参加で。だけど、きっと何人かのラン仲間が走ると思ったので応援に行ったんだ。豊平川河川敷が主なコースとなっている大会だ。オレは折り返し地点の手前で応援することにした。
さよならマラソン応援
そこにいれば、往復でこっち側と向こう側で2回応援できるからだ。

きたきた!このブログも読んでくれているラン仲間が走ってきた。その男はオレよりずっと速いランナーだ。「行け!行け!」オレは応援した。向こうも「お、シブケンさん」と気付いてくれた。

しばらくすると、その男は折り返して向こう側を戻ってきた。
きたきた!この地点は、ハーフの残り5kmを切ったあたりになるだろうか。勝負どころの苦しい地点だ。

とはいえ、応援するオレは気楽なもんだ。「行け!行け!」と気楽に応援したその時!それは起こった。苦しいはずのその男が、力強く走りながら、腕を上げこちらに人差し指を突き出しこう叫んだんだ。

「シブケンさん、来週のつくばがんばってよ!」

衝撃が走る。
気楽に応援していた「走っていない」オレが、必死に「走っている」人に応援されたんだ。

「走っていない」人が「走っている」人に応援される。
こんな驚きの応援があるだろうか。これほどオレをヤル気にさせた応援がかつてあっただろうか。これはなんとしてもサブ3.5を達成しなければ、そう心に誓ったのだが・・結果を残すことはできなかった。


残すことはできなかったが・・もしかしたら無理なのかもしれないが・・このままあの応援をムダにしてはダメなのではないか。
ダメだよな。だから、来シーズンも、もう少しがんばってみようと思う。

そしていつか、オレも誰かが驚くような応援をしたいと思っている。小さな旗を振って。


※小さな旗に悪意はありません。目立つ応援の小道具として書いただけなので、気を悪くしないでくださいね。もちろん、BACK TO THE FUTUREのパーカーも。



関連記事











スポンサーリンク


コメント

 コメント一覧 (8)

    • 1. ぼうたん
    • 2022年11月20日 18:59
    • よっしゃ!
      俺も走らなきゃ!
      いけいけー!
    • 2. シブケン シブケン(管理人)
    • 2022年11月21日 10:12
    • ぼうたんさん
      よっしゃ!オレもまたがんばる!
    • 3. sakana2053
    • 2022年11月21日 10:25
    • 5 読書家のシブケンさん。凄く表現力豊かです。元カノを応援する元カレ。小さい旗。バック・トゥ・ザ・フューチャー。こわっ
    • 4. シブケン シブケン(管理人)
    • 2022年11月21日 11:14
    • sakana2053さん
      自分で書いてて怖かったもんね(笑)
    • 5. ゴロー
    • 2022年11月21日 12:08
    • 5 シブケンさん、マラソンやめて作家になれば🤣
      面白かったです‼️
      きっと、シブケンさんBack to the futureのパーカーを着た元カノにキンキンに冷えたポカリのペットボトルを3.5できなかった罰としてぶつけられたいんでしょうね(笑)
      オレもそんな妄想してみます😇
    • 6. ハセガワ
    • 2022年11月21日 14:08
    • ハシルコトのげんさんからたどり着きました。昨晩見つけて布団の中でクスクス笑いながら読み、気づいたら2時間経ってました!めちゃ文才ありますね!ハマりました!こちら北海道在住41歳女性ランナー、2022千歳3時間46分、別海3時間41分、5キロ20分、10キロ43分、ハーフ1時間33分がベストです。私も来年サブ3.5目指してます。ブログ楽しみにしてます!いつか同じレースに出てお話したいです。千歳は、来年は距離正確なんでしょうか…?
    • 7. シブケン シブケン(管理人)
    • 2022年11月21日 14:32
    • ゴローさん
      ありがとうございます。
      いやいや、ペットボトルぶつけるって某木下じゃないんだから!
      ところで仮に・・仮に作家になったとしても、マラソンはやめなくていいでしょ!(笑)
    • 8. シブケン シブケン(管理人)
    • 2022年11月21日 14:45
    • ハセガワさん
      布団の中で2時間もこんなブログ読むなんて・・早く寝ろ!失礼しました。
      ハシルコトの緻密でためになるブログからこっちにきたら、マラソンをナメるなよってなりますよね(笑)
      で、タイムを見ると・・フルはいい勝負できそうですね!ハーフは絶対勝てない・・
      ので、どこかのフルの大会でお会いしましょう(笑)
      それではサブ3.5めざしてお互いにがんばりますか!
コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット