鶴見辰吾は案外近くにいた。
オレと直接接点があるわけじゃないんだけど。
前回、鶴見辰吾著「51歳の初マラソンを3時間9分で走ったボクの練習法」についてブログを書いた。まだ読み終えていないのに。
それを読んだラン仲間から1枚の写真が送られてきた。鶴見辰吾とのツーショット写真だ。びっくりした。数年前、そのラン仲間がロードバイクをやっていた頃の写真だという。鶴見辰吾がロードバイク芸能人であることはよく知られている。
それを読んだラン仲間から1枚の写真が送られてきた。鶴見辰吾とのツーショット写真だ。びっくりした。数年前、そのラン仲間がロードバイクをやっていた頃の写真だという。鶴見辰吾がロードバイク芸能人であることはよく知られている。
巻末資料によると、鶴見辰吾はロードバイク芸能人の元祖とされ、2007年には2代目自転車名人に選出された、とのことだ。ちなみに初代は忌野清志郎だ。
って書いても「自転車名人」ってのがよくわからないと思う。オレもわからない。なので調べてみた。「自転車活用推進研究会が2年に1度、自転車活用の模範となるような著名人を選び表彰するもの」だそうだ。
って書いても「自転車活用推進研究会」ってのが・・もういいか(笑)
って書いても「自転車活用推進研究会」ってのが・・もういいか(笑)
鶴見辰吾は向こうから肩を組んでくるような、気さくな方だったという。写真を見ても、その雰囲気が伝わってくる。きっと有名人とのロードバイクの話に花が咲いたことだろう。
相手が有名人だったとしても、そこにスポーツが介在すれば「対等」の関係が生まれるのではないだろうか。ロードバイクでもマラソンでも。たとえ、その実力に差があったとしてもだ。
個人がそれぞれ真摯にスポーツに取り組むことで「対等」の関係性は生まれやすい。互いにリスペクトすることになるからだ。
オレももし一流のランナーと話す機会があれば、きっと話は尽きることなく会話できると思う。実力は月とスッポン、雲泥の差があったとしても、だ。オレが真摯に取り組んでいればそこに「対等」の関係性は生まれるはずだ。真摯に取り組んでいれば、ね・・
しかしそこに「対等」が無い場合は、気を付けたい。
せっかく有名人と会ったのに何も話せなかった、そんな経験はないだろうか。苦い経験と言っていいだろう。オレはある。っていうか、いつもそうだ。いつも、っていうほど有名人に会う機会は多くないけども。きっとそこに「対等」が無いからだと思う。
数年前、ある野外音楽フェスに行った時の話だ。
オレの大好きなプロミュージシャンが参加するバンドのライブを観た後に、それは起こったんだ。仮にそのミュージシャンを「Aさん」としておく。男性ミュージシャンだ。
そのライブの後、誰かバンドメンバーでもいねーかなー、とか思ってステージの裏側をのぞいてみたんだ。したらさ、仮設の楽屋っぽいところからAさんが!出てきたんだ。オレとの距離10mくらいだろうか。もちろん、一般人が入れないように柵はあったんだけど。
オレはラッキーっと思って、何も考えずに軽い気持ちで「Aさーん」と手を振ったんだ。野外音楽フェスならではのラッキー案件だ。言うまでもないが、Aさんとはまったく面識はない。当たり前だ、相手は一流プロミュージシャンだ。手を振り返してくれたらラッキーくらいの話だよね。
ところが、だ。
オレの呼びかけでAさんはハッとした表情になったんだ。知り合いを見つけたその顔だ。オレは周りを見る。誰か知り合いでもいるのかなって。しかし、誰もいない・・
次の瞬間、あろうことかAさんは小走りでこっちに向かってきたんだ。そのときのオレの感情を正直に書けばこうなる。
「ヤベー!来た」
だ(笑)。だって、ヤベーだろ。
ライブ終わりで後始末だなんだで忙しいはずの一流プロミュージシャンを、軽い気持ちで呼び寄せてしまったんだ。しかも小走りまでさせて。いや、オレのせいじゃないよ!きっとAさんがファン想いなだけなんだよ。
大勢のファンとか、若いファンにキャーキャーされるのなら、それに答えてもくれるだろう。だけど、そこにいたのはオレだけだ。けっこう前の話だけど、すでにその時オレはオッサンだった(笑)
誰だか知らないオッサンの呼びかけに対して、一流プロミュージシャンが小走りでやって来る。
これ以上にマズい状況も、なかなかないだろう。申し訳ないと思った。オレはなんてことをしてしまったんだろう、って。いや、軽い気持ちで名前呼んで手を振っただけなんだけど。
Aさんが目の前に来た。さぁどうする。
柵越しに向き合う、どこの誰だかわからないオッサンファンと向き合う一流プロミュージシャン。
この状況を作ったのは・・やっぱりオレ・・だよね。何か話さなければ。
「あ、ライブみました」
「ありがとう」
・・・・
それ以上何も話すことがない・・
たとえばどうだろう、「ずっと前から好きでした」とか言うべきだろうか。
キモすぎるだろ。
「いつ北海道に来たんですか」
「昨日かな」
「いつ帰るんですか」
「今日の夜かな」
なんだこの地獄ような会話は。今思い出してもワキ汗が流れるよ。この状況で、オレは大変に失礼な思いを抱いてしまったことをここに告白する。こう思った。
「なんでこっちに来たんだよ」
バカやろう、おまえが呼んだんだろ。いやいや、オレは呼んでないよ。オレなんかの呼びかけでこっちまで来ると思わないだろ。本来なら喜ぶべき邂逅だったのだが、しかしオレはこう思ってしまった。「なんでこっちに来たんだよ」って。
ここには「対等」がない。オレはただのファンの1人に過ぎない。
だってまさかオレが一流のプロミュージシャンをつかまえて「2曲目のイントロのギターリフ、もうちょっとタイトなカッティングの方がいいんじゃない?」とか言えないだろ。
なんだよ、タイトなカッティングって。
結局この邂逅がどのような終わりをむかえたのかは、憶えていない。邂逅邂逅うるせーな。
たぶん・・「じゃがんばってくださいね、応援してます」とか言って、オレからその場を離れていったのではなかったか。逃げたと言ってもいい。失礼な話だ。
あの写真の中のラン仲間と鶴見辰吾の間に、そんな地獄ような会話はなかったはずだ。そう、鶴見辰吾だ。
鶴見辰吾著「51歳の初マラソンを3時間9分で走ったボクの練習法」を読み終えた。さすがだなと思ったのは「走ることが義務にならないように」という章だ。
マラソンでもロードバイクでも「楽しむためにやっている」という方向にブレがない。有名人だけあって、横浜マラソンで好成績を残した後、多くの大会から招待があったという。それをすべて断ったんだって。
走ることが義務にならないように、だ。
横浜マラソンは自分が住む街を走るから愛着があって走りたいけど、それ以外はあまり無理したくないとのことで。
「やりたい」が「やらねばならない」にならないように。
ランナーならわかるよね、この気持ち。いつの間にか「やらねばならない」になっちゃうよね。誰もテメーの走りなんて見ちゃいねーのに(笑)
オレもそうだけど、確かに自己ベストを追いかけ続けるのは大きなモチベーションになる。だけどそれは「やらねばならない」になりがちだ。
それでマラソンが楽しくなくなったら意味ないよね。最近のオレです。苦しんでばかりだ(笑)
2023年、今年はできるだけマラソンを楽しみたいと思う。
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コメント
コメント一覧 (10)
読み物として金取れるんじゃないかくらい面白い。
最後はうなずいて読んでました。
サイコーです🤟
2012年からニセコHANAZONOヒルクライムに出ていまして、2014年に鶴見慎吾さんを真ん中に夫婦でフィニッシュ後に写真を撮ってもらいました^^実力差は相当ある(鶴見さん速い!)んですが、一応対等ってことでいいですよねw選手同士だし^^ このときyosiさんも出ていましたし、しぃさんは応援団でした(赤コーラおごってくれた)
ほめ過ぎでしょ!ありがとうございます。
ラン仲間から写真が送られてきたもんで(笑)
やっぱり楽しむのが一番!
あーpenさんもその時のお仲間で!
ヒルクライム、その言葉だけで震え上がりますが(笑)きっと楽しいんでしょうね~キツそうでもありますが・・
ランニング楽しんで、また、おもしろい記事書いてください。
私もよく地下鉄の中で笑いこらえてます。あの空間って、ちょっとしたことで笑いが止まらなくなるんですよね(笑)
確かにそういう時、マスク様さまです。
私も今年で、50才ですので、死人の役じゃなくて、死人にならないように、ほどほどの練習します。
あら、そうなんですか。ロードバイクの方はやってるんですかね~
50才ですか、なんでも「ほどほど」が一番です!