おい!みんな「屁」こいてるってよ!
先日、サロマ湖100kmウルトラマラソン完走記「その1」として「屁」のことを書いた。
したらさ、多くの方からコメントをいただいたんだ。
「俺も屁こいてるよ」って。
しかも、その回数がすごかったりする。屁の回数。レース中に50発だ100発だ屁をこいてるという。大変景気のいいお話だ。
さて、みんなでフザけるのはこのくらいにしておこうか(笑)
いやいや、マジな話なんだよね。みんなそうやって体調を調整しながら長い長いウルトラマラソンを戦っていることがわかった。スゴい。勉強になります。
そう、みんなスゴいんだ。ウルトラマラソンランナーたち。マジでリスペクトしたもん。
たとえば明らかにオレより高齢な、少々失礼な言い方をすれば「おばぁちゃん」がスタスタと前進していく。スピードはないが、しかし確実に前へ前へと進んで行く。強い。
たとえば明らかにオレより高齢な、少々失礼な言い方をすれば「おばぁちゃん」がスタスタと前進していく。スピードはないが、しかし確実に前へ前へと進んで行く。強い。
オレがいるゾーンになれば、トップランナーはいない。だからランナー然としていないスタイルの人だって多い。もちろんオレも含めて。要するに見た目シュっとしていないランナーも多い。語弊があるかもしれないが、普通のランナーたちだ。トップランナーではないという意味で。
きっと普段の姿からは、100kmウルトラマラソンを走るなんて想像できないのではないか。もちろんオレも含めて。そんな普通のランナーたちが、苦しみながらただただ100kmも先にあるゴールを目指す。
レース後半、オレはそんな普通のランナーたちに追い越される一方になる。みんなどんどん追い越していく。もう勝てない。オレは普通のランナーたちに圧倒された。そして、もうウルトラはこれで最後にしようと思った。オレにはもう無理だよ、って。
とにかく辛すぎた。
「なんで100kmとか走ってんだよ!オレ、そんなチャレンジングな人間じゃねーよ」心の中で自分に悪態をつく。「なんであの時、岩本能史の本を手に取ったかな、オレ。金哲彦にしときゃよかった」この苦しみを岩本さんのせいにしたり(笑)
いや、でもそれはホントで、初めて手に取ったマラソンメソッド本が岩本さんの本で。
自己流で(つうかテキトーに)走ってて、なかなかフルマラソンでサブ4できなかったときに、本でも読んで勉強するか、って何気なく手に取ったのが岩本さんの本だったんだ。
その時は知らなかったけど、岩本さんはバリバリのウルトラマラソンの人で。その後、岩本さんの本を何冊か読んでいくうちに、ウルトラを身近なものだと勘違いしてしまったんだ。
オレにもできるかな、って。
オレにもできるかな、って。
そして2018年にサロマ湖ウルトラマラソンに初挑戦する。で、今回が3回目の挑戦だった。とにかく辛かった。過去イチで辛かった。理由・原因はいろいろあるけどとにかく辛かった。これもう、岩本さんのせいだろ。とんでもない八つ当たりだ(笑)
だからといってあの時、金さんの本を手に取っていたらウルトラにコマを進めなかったとも言い切れないけど。
とにかくオレは「クソクソクソ!」って、心の中でいろんなものにアタりながらゴールを目指す。「オレは根性なしのダメランナーだ、マラソンやめちまえ!」すぐに歩いてしまう自分が不甲斐ない。
70kmも超えると、周りにいるランナーはだいぶ固定されてくる。抜きつ抜かれつの攻防が、延々と続く。ウソつきました。ほぼほぼ抜かれる一方で、たまに抜き返す程度の攻防だ。
オレのゴールタイムは12時間51分56秒だった。制限時間13時間ギリギリのタイムだ。だから、オレの周りを走っているランナーもそのギリギリを走っていたんだ。歩いては走り、走っては歩きの繰り返し。みんな何度も腕時計をのぞき込む。
「歩いてもキロ10分は切れる。あと残り20キロ全部歩いてもギリギリ間に合う」
そんなタイムゾーンにいた。みんな同じようなことを考えていたのではないか。何度も何度も時間を計算した。しかし、そうなれば「走る気力」をもぎ取られる。歩いても行けるって思っちゃったらさ。でも、そうはならない。たぶん全部歩いては行けない。それはわかる。だから走る。でもすぐに歩く。
そんなことの繰り返しだ。
今回オレが苦しんだ一つに「歩いても楽にならない」という現象があった。過去にはなかった現象だ。
ランニングフォームの改善がうまくいったのだろう、走りは調子よかった。脚に負担のかからない走りができていたと思う。途中、脚が痛くなることもなかった。
だけどその分、っていうのかな、歩きになるとフクラハギにものすごく負担がかかった。「走り」と「歩き」で、これほどまでに使う筋肉が違うということに初めて気づかされた。体力的に走れない。だから歩く。でも楽にならない。フクラハギに負担がかかる。だから走る。走ると脚は楽になる。だけどすぐに走れなくなる。歩く。
そんなことの繰り返しだ。
結局、歩く時間は長くなっていく。そのせいでフクラハギがツるようになってしまう。残り10kmは、フクラハギがツりまくって苦しんだ。
でも、周りのランナーたちも似たようなものだ。違ってたらゴメンね。少なくともオレにはそう見えていた。でもみんな黙々と前に進む。時間がないんだ。進むしかない。ここまで来たんじゃないか。必ず制限時間内にゴールしてやる。そんな空気があった。「みんなで絶対制限時間内にゴールしようぜ!」なんてガラにもないことをオレは思った。祈った。
そしてオレの場合、制限時間内にゴールすることに加えて、もう一つのモチベーションがあった。
これでウルトラマラソンとはオサラバだ!
やめるために制限時間内にゴールしてやる、そんなモチベーションがあったっていいだろ?なんとしても制限時間内にゴールしてウルトラマラソンとはオサラバしてやる!
今回、サロマ湖ウルトラを走るにあたって「勝って終わるのか負けて終わるのか」という記事を書いた。
その中で「できれば勝って終わりにしたい。」と。
「勝つ」とは制限時間内の完走。そして自己ベスト更新。さらに村上春樹超え、と。50kmの部を走る奥さんよりも先にゴールしたいってのもあった。時間差スタートと実力的にいい勝負になるはずだったから。
でも、そのほとんどで、負けた。勝ったのは「制限時間内の完走」だけだ。記録も自己ベスト更新どころかワースト記録だ。どう考えてもトータルで「負け」だ。
負けて終わる、ということだ。
だけどどうしてだろう、オレは満足している。ものすごくうれしいゴールだったからだ。本当にうれしかった。うれしさで泣くことはなかったけど。逆に笑ったと思う。
全てに負けたけど、制限時間内のゴールだけは死守したオレらしいギリギリのがんばりを笑った。
どう考えても今までで一番うれしいゴールだった。ここに連れてきてくれた岩本さんに感謝した。八つ当たりしてたくせに(笑)
これを超えるゴールはこの先ないと思う。それほど辛かったしうれしかった。これでオレのウルトラマラソンは終わりだ。最後に100kmを走り切ることができてよかったよ。フルマラソンはもちょいがんばる。
あと、いくつか印象深かった出来事を書きたい。
うまく説明できるか自信ないけど、どうしても書きたいことがある。怪力タンク持ち上げ男の話だ。ものすごくかっこいい男性ランナーの話だ。
何キロごとかに「かぶり水」をするために、道路わきにタライとヒシャクが用意されているんだ。そして、そのタライの水がなくなったら、水を補給するためのタンクも用意されている。こんな感じのタンクね。

けっこうデカいよ。幅2m、奥行き1m、高さ1mってところか。
でね。レースも後半、ある場所でその水が足りなくなっていたんだ。タライの水はすっからかん。タンクから補給しようにも、タンクの水も残り数センチの深さしかない。ヒシャクを突っ込んでも、水をすくえない状態。
でもみんな暑さにやられている。なんとかわずかでも、タンクに残った水を使いたい。その時だ。なんかかっこいいシュっとした男性ランナーがさ、「おりゃ!」って感じで、そのオレンジ色のタンクの片側を持ち上げてタンクを傾けたんだ!いくら空に近い状態とはいえ重いだろこのタンク。怪力だ。その人だって走ってきて疲れてるだろ。
「早く!誰かヒシャクですくって!」って。
「俺のことはいいから、お前ら先に行け!」だ。もう、ヒーローだよ。かっこよすぎた。やっぱ、見た目がかっこいい人は中身もかっこいいね。あのとき助けてもらったランナーです。ありがとうございました。
あと、バカ殿様ね。志村けんのアレ。おしろいで真っ白の顔にちょんまげ付けてね。それで走ってるランナーがいて。大変だろうな、あの姿でウルトラ走るの。オレ、誰かのマラソンの仮装見て初めて爆笑したもんね。元気もらったわ。ありがとうございました。
そういえば、世界一おいしい飲み物見つけたよ。
暑い日に60km以上走ってから紙コップで飲む、やかんで作ったキンキンに冷えた麦茶。これが世界一に決定です。この水分補給のおかげでゴールすることができました。ありがとうございました。異論がある方は是非暑い日に60km以上走って試してみてください。
最後に。
繰り返すけど、オレのウルトラマラソンへの挑戦は終わった。もうやらない。やれない。今回ワースト記録だったけど、制限時間内に完走できたことで満足した。何度もあきらめそうになったけどがんばった。有森レベルで自分で自分を褒めてやりたいと思った。オリンピックのメダルからは程遠いチャレンジだけど。ワースト記録でのゴールがこんなに満足できると思わなかった。オレの実力こんなもんだろ、そう思えた。
ホントに最高のゴールだったよ。ウルトラマラソンのゴールって最高だな!
もし、今回途中で挑戦が終わってしまったランナーが見ていたら・・来年ぜひゴールしてくれ!応援してます。最高だよ、あのゴール。
そして、これからウルトラに挑戦しようか迷っているランナーが見ていたら・・いつか挑戦してほしい。迷っているのはやりたい証拠だ。フルマラソンを4時間前後で走る力があれば、きっとゴールにたどり着けるはずだ。オレがたどり着いたんだから。最高だよ、あのゴール。
迷ってもいなし興味もないなら・・ウルトラマラソンなんて絶対に挑戦しない方がいい(笑)辛いなんてもんじゃないから。最低だよ、あの100km。
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コメント
コメント一覧 (16)
その1の屁から読ませていただきました。
本当に…感動しました。
本当につらくて苦しい、痛い100kmだったんだな、と思いました。
私はフルマラソン10回くらいの経験しかないですが、洞爺湖で3時間32分でした。
毎月300〜350kmくらい走ってます。
憧れます、ウルトラランナーに。
すごいな、100kmも走れるなんて。
心からリスペクトします。
私実は夫が転勤族で、今の北見に住んでいるんです。チームの仲間のほとんどがサロマに出ました。
いつか出たいなって思います。
サロマ100kmに。
でも怖いです。
出るからには、完走したいですよね。
シブケンさんは、勝ちましたよ!
完走したい強い意志が、痛みやつらさや苦しみから。
本当にリスペクトします!
最高のゴール、お疲れ様でした!
奥様には会えたんですが、シブケンさんを見つけれませんでした。(本当に走ってました?笑)
私も自己ワーストです。
普通に歩いてましたもん、屁しながら。
今年のサロマは何か分からんけど辛かったです。
ただの老化かもですが、、、
走っているときは、ウルトラ卒業考えましたが、4日たつと何が敗因だったのかを考えている自分が恐いです。
ま~秋に向けてお互い頑張りましょう。
そ~麦茶ベストなんです。
以前あったおにぎりと合わせると格別なんです。
それが敗因か
「いつか出たいなって思います。サロマ100kmに。」
いやいや、もうすぐ来年出てください!だって
「フルマラソン10回くらい、洞爺湖で3時間32分、毎月300〜350kmくらい走ってる」
これで怖いとか言ってたら怒られますよ、初めて走ったときの私に。いや、今の私にも(笑)っていってもね・・そう簡単なことじゃないですよね。わかります。
でも、せっかく北見にいて、仲間のほとんどがサロマに出ている。この状況は出るしかない!っていってもね・・そう簡単なことじゃないですよね。わかります。
いつか必ずあの最高のゴールへ!応援してます。
お疲れ様でした!
おかしいな、オレ、夢見てたのかな。ホントは走ってなかったのかも(笑)
確かに、マラソンの辛さってすぐに忘れてしまいますよね~
ただ今回は・・「ぜってーこの辛さは忘れねー!」と、とんでもないマイナス思考で走ってました。ので、私は卒業できそうです。あと、レースそのものも辛いですが、札幌からの移動とか夜中に起きてとか・・その辺もがんばる自信がないところです。
hinahioさんは是非!来年もがんばってください。屁しながら。
屁の記事と合わせて楽しませていただきました。
三回目でも辛いのですね。
フルはもう少し頑張るということで安心しましたw
きっと100kmのゴールは最高なんでしょうね。たくさんの方がゴールして泣くと聞きます。
私はウルトラバージンですが、その感動はもう少し先に取っておこうかと思います。
ありがとうございます。
まぁ、3回目といっても2回目からコロナの影響で4年空きましたからね。
何も憶えていないし年は取ったしで(笑)
いつの日はあの感動をぜひ!
サロマ湖100km、完走おめでとうございます。
私も初ウルトラ、初サロマを完走できて感激です。
膝の故障で、不安だらけのスタートでしたが、「ウルトラは走ってるうちに痛み消える」でしたっけ?
消えはしなかったけど、「走るんかい」と諦めた筋肉や腱や骨が、痛いなりのフォーメーションを組んで、「今日はこれでいくか!」と言ってくれてるようで、最後まで走らせてくれました。
屁の話はね、また、電車の中で読んで失敗しましたよ(笑) 実は、私もしたくなる方で、サロマでもつい。後ろを気にしていたら、なんと前の女性ランナーが結構盛大に3〜4回されて、その潔さに、負けた、と思いました。
長いぶん、いろんなドラマがありますね。
辛さもよりどりみどり。
何はともあれ、完走できてよかった。
シブケンさん、発見できなかったのが心残りです。
いや〜、屁で大笑いさせてもらい完走記ではウルトラの辛さを思い出して感動しました。
ウルトラって本当に特別なステージですよね!
今自分はフルに全集中するためにウルトラと富士登山競走を封印中ですが読んでいて早くウルトラ走りたくなってきました。
シブケンさんウルトラ引退ですか…
あの人生最大の苦しみと人生最高の達成感は何度味わっても格別なのにな〜
もし気が変わったら観光気分で飛騨高山か富士五湖118㎞なんてどうでしょう?超絶に苦しいですが景色最高ですよ。
あと、自分も屁は普段の練習からこきまくりですよ 笑
ゴールしたときの達成感は俺の宝物になるだろう!
完走おめでとうございます!
あの天候で初ウルトラ完走はすごい!これからまだまだイケますね!
お会いできなかったのは残念ですが、私も苦しみすぎて、誰がどこにいるとかまったく意識する余裕はありませんでした。ゴール後はずっと倒れてました。みんな元気に写真とかとってすごいですよね~
機会がありましたら、いつかどこかで!
ありがとうございます!
いや、トムさん、とりあえず今のところは・・ウルトラ引退ということにさせてください。マジで苦しかった。レース自体もツラかったのですが、サロマまでの300キロの車移動、スタートに合わせて夜中に起床、ゴール後もビール350缶すら飲み干す元気もない・・などなどトータルで「もうダメだこりゃ」となりました(笑)
屁こけないのがダメなのかな。
まだまだフルマラソンはがんばりますよ!ウルトラは気が変われば!
よっしゃ!ゴールの達成感ハンパなし!
ハラハラしながら応援ナビみてました
僕は1回走ってやめましたが
3回も走ったんだから
シブケンさんはウルトラ引退してもいいと思います
ウルトラのレースは引退しても
また遊びで100km走りましょう(・∀・)
私事ながら、しぶけんさんのブログや他の方のブログを拝見しながら、初サロマ攻略に向け作戦や練習を積み、無事に目標のサブ10することができました。
もちろん、その結果自体に大変満足なのですが、タイム以上に色々な感動があり、ぜひ来年も走りたい!という気持ちになりました。
もし奥様が来年も出たいということであれば、私が今回利用した五鹿山公園キャンプ場のキャビン、お勧めです。布団を持っていく必要がありますが、スタート地点やチューリップの湯に近く、レース前にしっかり休めましたよ。
次は北海道マラソンでしょうか、お互いしっかり体調を整えて頑張りましょう!今年はきっとスポーツ館の試走会やらないのでしょうね…
ありがとうございます、ご無沙汰しております。
いやいや、ウルトラのレース引退したのに、遊びで100km走れないでしょ!(笑)
あ、くろいぬさんは遊びで100km走ってるのか!
あの気温の中、初サロマでサブ10、すごすぎる。お疲れ様でした!
私のブログはサブ10には何の貢献もしていないと思いますよ(笑)
五鹿山公園キャンプ場ですか、チェックしてみます。サロマ湖ウルトラのためではなく・・キャンプ好きなので!
北海道マラソンがんばりましょう!スポーツ館の試走会、あれ、この前のサロマ湖よりヒドい気温でしたね(笑)