安心したのは、駒田さんがある人たちに「コマちゃん」と呼ばれていたのを知ったことだ。
オレは駒田さんのことを勝手に「コマちゃん」と呼んでいる。なんなら奥さんも「コマちゃん」と呼んでいる。夫婦の会話で駒田さんが出てくると「コマちゃん」だ。しかし、人前では「駒田さん」と呼ぶ。なぜなら誰も駒田さんを「コマちゃん」とは呼んでいないからだ。(でも、そう呼んでる人はいたんだね、よかったよ)
駒田さん・・駒田博紀は「オン・ジャパン株式会社」を立ち上げ、スイスのスポーツブランド「On(オン)」を日本に広めて、そして根付かせた男だ。
今まで駒田さんのことをよく知るOnの社員さんや関係者、オレと同じようにOn大好き人間(OnFriendsと呼ばれている)の人たちと話をしたときも、誰ひとりとして駒田さんのことを「コマちゃん」と呼んでいなかった。「駒田さん」もしくは下の名前で「ヒロキさん」と呼んでいる人たちが多い気がする。だからオレも人前では「駒田さん」と呼んでいる。
そもそも駒田さんが持つ雰囲気は「コマちゃん」じゃない。あくまでオレがそう思っているだけだが。なんせ本書の著者プロフィールにあるように、駒田さんのあだ名は「ハマのダンディズム」だ。それはとてもしっくりくるあだ名だ。「コマちゃん」より「ダンディズム」だ。なのになぜオレたち夫婦は駒田さんを「コマちゃん」と呼ぶのか。
理由は、ない。自然とそうなった、としか言えない。
それは例えば、全国のアベさんの多くが「アベちゃん」と呼ばれることに理由がないように。
オレも今までの人生で何人かのアベさんと関わってきたが、全員「アベちゃん」だった。その人が持つ雰囲気やイメージとは関係なく「アベちゃん」だった。同じクラスのアベさんも「アベちゃん」だったし、野球部仲間のアベくんも「アベちゃん」だった。それぞれ漢字は違ったけど「アベちゃん」だった。なんなら出会ったその日から「アベちゃん」だった気がする。だって、あのシブくワイルドな雰囲気を持つ俳優の阿部寛だって「アベちゃん」なんだ。きっとアベさんの多くは「アベちゃん」と呼ばれていると思う。
オレも今までの人生で何人かのアベさんと関わってきたが、全員「アベちゃん」だった。その人が持つ雰囲気やイメージとは関係なく「アベちゃん」だった。同じクラスのアベさんも「アベちゃん」だったし、野球部仲間のアベくんも「アベちゃん」だった。それぞれ漢字は違ったけど「アベちゃん」だった。なんなら出会ったその日から「アベちゃん」だった気がする。だって、あのシブくワイルドな雰囲気を持つ俳優の阿部寛だって「アベちゃん」なんだ。きっとアベさんの多くは「アベちゃん」と呼ばれていると思う。
全国のアベさんが「アベちゃん」と呼ばれる現象を語るとき、セットで語られるのは全国のワタナベさんがどう呼ばれているかについてだ。
そんな言説に触れたことが一度や二度はあると思う。ない?オレはあるけどな。なんかのエッセイで読んだ気がする。どんなエッセイだよ。普段から何を読んでいるんだオマエは。それにオレなりの考えも加えて述べてみたい。
そんな言説に触れたことが一度や二度はあると思う。ない?オレはあるけどな。なんかのエッセイで読んだ気がする。どんなエッセイだよ。普段から何を読んでいるんだオマエは。それにオレなりの考えも加えて述べてみたい。
例えば、ワタナベさんはアベさんと違って「ちゃん」より「さん」になることが多い、なんていう言説だ。「ナベちゃん」よりも「ナベさん」だ。オレがよく弾き語りライブをやらせてもらっているライブバーのオーナーもワタナベさんだが、みんな「ナベさん」と呼んでいる。これに関しては、異論があるかもしれない。いや「ナベちゃん」の方が多いだろ、と。だったら「ワタちゃん」はいるのか?と聞きたい。
ご存知のように、ワタナベさんの呼び名は前半の「ワタ」を用いるパターンと後半の「ナベ」を用いる2パターンが用意されている。オレの経験上は、後半の「ナベ」を用いるパターンにしか出会った事はない。しかしもちろん、前半を用いた「ワタさん」もいるはずだ。だけどどうだろう、「ワタちゃん」はいるだろうか。「ワタちゃん」となった途端に、なにかのキャラクターのように感じるのはオレだけだろうか。「ワタちゃん」はきっとフワフワしていると思う。ここで、だからワタナベさんの呼び名を考えるときに、見落としてはならないのが、そう、「やん」だ。
アベさんの場合、その人が持つ雰囲気やイメージと関係なく「アベちゃん」と呼ばれることが多いと考えられる。しかしワタナベさんの場合、陽気だったりひょうきんものだった場合「ちゃん」でも「さん」でもなく、「ナベやん」と呼ばれることがあるのではないか。「やん」だ。それを見落としてはいけない。それこそがアベさんとワタナベさんの違いだ。たぶん「アベやん」はいないと思う。
ここまで「ちゃん」と「さん」、そして時には「やん」について考えてきたが、それらが常に「名前の後」に付け加えられると思ったら大きな間違いだ。そう、カワイさんの場合だ。
「チャンカワイ」と呼ばれる場合があるのではないか。
「名前の前」に「ちゃん」が付くトリッキーなパターンだ。オレの人生において、カワイさんとは関わったことがないので(たしか)あくまで可能性としてだが。
ちなみに、オレは「シブケン」という名前でやらせてもらっているが、って、別になにもやっていないが、実生活で「シブケン」と呼ばれていたことはない。学生時代なんかに。本名を略してニックネーム的にするなら「シブケン」しかないような名前なんだが、しかし、そう呼ばれていたことはない。フツーに苗字で呼ばれることしかなかったと思う。あまりフレンドリーじゃなかったんだろうね。
このブログとかSNSとかで自ら名乗ったあとに、そう呼ばれるようになった感じだ。
このブログとかSNSとかで自ら名乗ったあとに、そう呼ばれるようになった感じだ。
ここまで読んでもらって大変申し訳ないが、この本をレビューするときに、呼び名のことはそれほど重要ではないんだ。思い切って言ってしまえば、どうでもいいんだ。
言うまでもないが、この本にそんなことは書かれていない。そんなことが書かれていたら、本のタイトルが変わってしまう。「なぜ、アベさんはアベちゃんと呼ばれるのか?」に。もしくは「あなたはワタ派?ナベ派?」なんかに。自伝エッセイなら「ナベやんと呼ばれて」なんかもあるかもしれない。ねーよ。
全然違う。本書を読むにあたって、呼び名についてはとりあえず「ハマのダンディズム」だけ押さえておけばいいだろう。
改めて、この本のタイトルは「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」だ。疑問形のタイトルである以上、本の中にその答えがあるはずだ。それを一緒に見つけようじゃないか。もしかしたら、この本を読むだけでも、心にポッと火が灯るかもしれない。なんならオレも本のレビューをしたこのブログで、読む人の心にポッと火を灯したいと思っている。
ここまで読んで、どうやらまだポッと火は灯っていないようだね。
なんなら、怒りの炎が燃え盛っている気配もする。俺は何を読まされているんだ、と。早く本の内容に触れろよバカやろう、と。
わかった。まずこの本のタイトルを見ると、そもそも本当に「Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」という疑問が浮かぶかもしれない。Onのランニングシューズを履いたことがない人だったら、当然抱くであろう疑問だ。
On大好き人間のオレから言わせてもらうと、こうだ。
どうだろう、わからない。
言っても、ただのランニングシューズだ。その性能、デザインなんかを気に入る人はいると思うけど、果たしてスポーツショップでたまたまOnのランニングシューズを買って履いただけで「心にポッと火が灯る」だろうか。わからない。
でもね、この本「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」を読んでからOnのランニングシューズを手に取ってみてほしい。そして履いてみてほしい。そしておもむくままに、いつものコースをペースなんてどうでもいいぞ。うん、一番気持ちよく楽に走れるペースがいいと思う。
どうやってこのOnのランニングシューズが自分の足に届いたのかを思い出しながら、走ってみてほしい。
そうすれば・・心にポッと火が灯るかもしれないよ。
そうすれば・・心にポッと火が灯るかもしれないよ。
この本を読めば、駒田さんがどのようにOnに出会い、そして日本に広め根付かせたのか知ることができる。いや、そのもっと前、駒田さんがOnに出会ってオン・ジャパンを立ち上げる前の会社員時代、もっともっと前の大学生時代、もっともっともっと前の幼少期時代の駒田博紀を知ることができる。
どんな男がどうやってOnを日本に広めたのか。
その道のりは簡単じゃない。ランニングを趣味とする人ならその困難さを想像するのは簡単だろう。ナイキ、アディダス、アシックス、ニューバランス・・ランニングシューズ市場のシェアはもうギッシギシだ。新興ブランドの入る余地がどこにあるっていうんだ。しかも日本じゃなくスイス発のブランドだ。
そんな困難な状況の中、駒田博紀は小さく死んだ。
「小さく死ぬ」。なんて文学的な表現だろう。本の中で印象的な場面のひとつだ。駒田さんは小さく死んだ。だけど戻って来れた。だから生まれ変われたという。そこにヒントがあるんじゃないか?「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」のヒントが。
オレはもう何年もランニングシューズはOn一辺倒だ。とても気に入っている。その性能はもちろん、特にデザインを気に入っている。どこかにも書いたが、走るためにOnを履いているというより、Onを履くために走っている、と言っていいほどに。
しかし、それだけなんだろうか。オレはシューズのデザインを気にっているから、ただそれだけの理由で部屋にOnのシューズの箱をバカみたいに積み上げているのだろうか。
きっと違うよね。
コマちゃんが小さく死んでまで・・そこまでして、オレの住む遠い北海道の札幌にまでOnのシューズを届けてくれたから、だよね。
オレが初めてOnのシューズを買ったのは何年前だったかな。当時、ウルトラマラソンのパイオニア、プロフットレーサーの岩本さんがOnのシューズを履いていると知って、すごく欲しかったんだ。
だけど札幌で売ってなくてね。まだOnの公式オンラインショップはなかったし(記憶が確かなら)、アマゾンとかはどうだったかな、ちょっと憶えてないけど。全然憶えてねーなオレ。でも、どっちにしろ、まずは実物を手に取ってみないと買えないじゃない。実際のところOnのシューズがどんなだかわからないし(笑)
だけど札幌で売ってなくてね。まだOnの公式オンラインショップはなかったし(記憶が確かなら)、アマゾンとかはどうだったかな、ちょっと憶えてないけど。全然憶えてねーなオレ。でも、どっちにしろ、まずは実物を手に取ってみないと買えないじゃない。実際のところOnのシューズがどんなだかわからないし(笑)
ある日、札幌のとある百貨店のいちスポーツ用品テナントの片隅にそれが並べられてさ。奥さん情報でそれを知って。「Onあったよ!」って。会社帰りに汗かきながら急いで行ったよね。色違いの「クラウド」ってモデルが並んでた。あたりまえだけど写真で見てた通りソールが凸凹しててさ!靴紐がゴムでさ!軽くてさ!デザインが色がかっこよくてさ!
心にポッと火が灯ったよね。
それは小学生の時にスーパーでガンプラを見つけた時以来の「ポッ」だった。ガンプラは模型屋さんに朝から並ばないと買えない超ブームの時で。その頃住んでたいなかの函館なんかに、なかなかガンプラは入荷されない。そんな時、近所の小さなスーパーに買い物に行って、申し訳程度に設置されていた小さな小さなホビーコーナーをなにげなくのぞいたらさ。
なぜか1個だけガンプラがあったんだ!しかも、どこの模型屋さんでも見たことがなかった「アッガイ」が!(わけわからない人ごめんなさい)
そんな「ポッ」だ。初めてOnのクラウドが並んでいるのを見た時の「ポッ」は。
まぁその日、クラウドは買わなかったんだけどね(笑)
で、どういう「ポッ」なんだ、それは。「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」の答えをいい加減に書けよ、そう思っているだろうか。
その答えは・・本書「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」に書いてある。是非読んでみてくれ。
「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」幻冬舎 (2024/3/28発売)
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